目覚める 台湾デザイナーズ ブランド( 2)セイヴソン(後)

2024年04月11日 (木曜日)

日本市場に照準

 2020年からは、海外市場の開拓に乗り出す。米ニューヨークと東京のファッションウイークに参加した。中でも力を入れるのが日本市場で、21春夏シーズンから「楽天ファッション・ウイーク東京」でのランウエー形式の発表を続けている。22春夏コレクションは、日本のファッションメディアの読者投票で最も人気のあるブランドに選ばれた。

 日本では、カジュアルウエアと言えばスポーツウエアのイメージが強いが、「カジュアルウエアにフォーマルの要素を加えた私たちのスタイルが、日本の消費者に新鮮に映っている」と、ヅゥチン シン・デザイナーは分析する。

 日本で幸先の良いスタートを切ったように見えるが、「価格が高い」「フェティッシュなディテールは売れない」と見る日本のメディア関係者もおり、課題は少なくなさそうだ。

 ただシン・デザイナーは冷静だ。「海外市場で一定のポジションを得るのは簡単ではない。市場の特性やニーズをしっかり把握し、それに合致した製品を投入する必要がある」とみる。台湾ブランドとしての強みも求められそうだ。自分たちの強みが何なのか、今も模索している。

 台湾での販路はネット通販だが、日本では百貨店販路を開拓しようとしている。昨夏の楽天ファッション・ウィーク東京の期間、伊勢丹新宿店本館で期間限定店を開いた。今月10日からは、阪急うめだ本店(大阪市北区)で始まったイベントに期間限定店を出した。「日本展開を加速するために、これから仲間といっしょに会社を作る」と言う。

 セイヴソンは、中国製や日本製、台湾製の生地を採用している。「日本製は備蓄品が多い。スタイレム瀧定大阪や宇仁繊維、マスダの生地が気に入っている。ただし価格が高いため、特徴のあるアイテムに絞って採用している」

 生地の多くは、縫製工場のサプライヤーのものを選んでいる。台湾製の編み物は「工場にオリジナルを作ってもらっている」。

 縫製は、台北周辺の少人数で運営しているマンションメーカーで行っている。「台湾の縫製業も高齢化が進んでおり、今後どこで作るかが課題になる」と言う。

(台北=岩下祐一)