日中繊維貿易の新時代 AFF大阪レビュー(前)

2024年04月16日 (火曜日)

脱中国進む中で

 日本に対する中国繊維企業のアプローチが再び熱を帯びている。欧米ブランドが脱中国を急ピッチで進めていることが背景にある。中国やASEANで衣料品のOEM生産を請け負うある生地商社幹部からは、「昨年から中国の工場はかなりスペースが空いてきている」との声が上がる。

 そして、欧米に販路を構成していた中国工場は、カンボジアやミャンマー、バングラデシュへ工場を建設したり、協力工場を確保して「メード・イン・チャイナ」を隠そうとすると同時に、日本へのアプローチを再び強めている。9~11日に開かれたOEM・ODMを中心とした繊維・ファッション展示会「AFF大阪2024春」でもこの傾向が色濃く出ていた。

 AFF(アジア・ファッション・フェア)は前身の「CFF」(チャイナ・ファッション・フェア)として2003年に初開催して以来、大阪や東京、名古屋での開催を積み重ね、今回が40回目の節目だった。出展者は371社・422ブースで、大阪展としてはほぼ過去最大級の規模。新型コロナウイルス禍の下では休止や縮小を強いられたが、力強く完全復活したと言える。

 AFFの主催・運営は長らく中紡広告展覧が務めていたが、21年に中国最大の展示会会社である米奥蘭特国際会展(MEORIENT)が中紡広告展覧の株を60%買い取って子会社化し、運営に名乗り出た。潘建軍董事長は今後の方向性の一つに「グローバル化」を挙げる。

 現状は、出展者のほとんどは中国企業。一部でASEAN企業があるが、主体はあくまで中国だ。来場者は日本の商社やアパレル。出展者と来場者の両方で国際化を図りたいというのが潘董事長の考えだ。日本を含む中国以外の国への出展勧誘を強めるとともに、ASEANなど日本以外での開催頻度も増やし、中国での開催も視野に入れているという。

 今回展でもバングラデシュやミャンマー、カンボジアなどに工場を持つ、あるいは協力工場がある中国企業が多数出展していた。その出展者に話を聞くと、AFF自体がグローバルな方向性にあることに加え、中国以外のアジア縫製を求める声が日増しに高まっていることが分かる。リスク分散や脱中国の流れの中、「中国でもその他アジアでも生産できる」機能が重宝されていることは間違いない。