日中繊維貿易の新時代 AFF大阪レビュー(後)

2024年04月17日 (水曜日)

強み生かし対日拡大

 蘇州蘇沛瑞紡織科技はスポーツウエアに適したストレッチ生地などを打ち出した。AFF東京展への出展は1度あるが、大阪は今回が初。自社の織布工場を持ち、備蓄(ストック)はしないものの、別注への対応力を強みとする。欧米向けが主力で対日は売り上げの2%しかない。「欧米ブランドからのオーダーがほとんど止まっている」現状、対日生地輸出拡大に事業存続の望みを託す。思惑通り、日本の大手OEMメーカーや日本を代表する合繊メーカー、商社、生地商社などから多数のスワッチ依頼を取り付けた。

 山東緹帛(TPOテキスタイル)はレディースファッション向けの協力縫製工場を中国各地に展開していたが、3年前にバングラデシュでも協力工場を確保した。織物、編み物、セーターなどを幅広く縫製し、取引は対日が100%を占める。東京のAFFには2回出展したが、大阪は今回が初めて。

 「日本は価格要求が厳しい」ことがバングラデシュ進出の理由。日本の大手OEM商社数社と取引しており、「(価格要求は厳しいが)、食らいついていきたい」とし、価格対応だけでなく、強みの高品質、短納期、小口対応も引き続き磨いていく。

 帝聖紡織品貿易〈上海〉は以前、中国内に自社縫製工場を保有していたが、5年前にそれを手放してバングラデシュに自社工場を建てた。中国、ミャンマーにも協力縫製工場を配し、適地生産体制を整えている。AFFには長く出展しており、グループ全体で対日、欧米向けに縫製品を納めている。

 日本市場の特徴は「価格に厳しくロットが小さい」ことだが、「できる限り対応していく」。ミニマムロットはコンテナの都合でバングラデシュが1品種4千~5千枚、ミャンマーが1万枚だが、中国は事実上ミニマムなしで対応している。

 青島綺源新材料科技は機能糸の開発、提案、販売を行う。自社で設備は持たず、従業員5人、2022年設立と歴史も浅いが、ポリエステル、ナイロン、綿、レーヨンなどで独自の機能糸を開発する力が認められ、対日80%、中国国内20%の販路を構成する。

 日本の主要商社と取引しており、インナー、ジーンズ、Tシャツ、ポロシャツ、寝具類など幅広いアイテム、分野に機能糸を供給する。特許取得の技術もある。(おわり)