繊維ニュース

化繊協会 ISO提案を推進

2024年04月18日 (木曜日)

 日本化学繊維協会(化繊協会)はこのほど、「環境配慮型繊維製品に関する日本産業規格(JIS)」原案を作成し、経済産業省の審議会に提出した。早ければ2025年ごろまでにJISが発効する見通しだ。これを受けて今後は国際標準規格(ISO)化を推進する。

17日、大阪市内で開いた定例会見で大矢光雄会長(東レ社長)が明らかにした。

 化繊協会は23年度まで「環境配慮型繊維製品に関するJIS開発事業」に取り組み、再生原料とバイオマス原料による化学繊維を規定するJIS原案と、混率表示などのために環境配慮型繊維製品の鑑別を可能にするトレーサビリティ―に関するJIS原案を作成した。3月に原案が完成し、JIS制定を答申する政府審議会である日本産業標準調査会に提出しており、順調に審議が進めば25年ごろまでにJISが発効する。

 世界貿易機関(WTO)の「貿易の技術的障壁に関する協定」(TBT協定)によって国内規格と国際規格の整合化が求められることから、今回のJIS化を踏まえ大矢会長は「今後3年間で今回の規格に基づくISO提案を進める」と話す。

 また、23年度に実施した衣料品のデジタル情報に関する標準化調査事業の結果を受けて、新たなに「易循環資源繊維製品設計」に関するJIS原案作成にも取り組む。

 会見ではサステイナビリティーへの取り組みとしてそのほか繊維to繊維リサイクル実現に向けた検討、マイクロプラスチック問題の対応が報告された。繊維to繊維リサイクル実現に関して大矢氏は「資源循環のためのロードマップを作り、経産省が進める資源循環のための制度設計の議論にも積極的に参画する」と強調した。特に欧州連合(EU)が進める環境規制「エコデザイン規則」への対応も大きなテーマとなる。マイクロプラスチック問題に関しては、排出データ蓄積による実態把握に取り組む。

 そのほか、5月23~24日に韓国ソウルで開催する第14回アジア化繊産業会議の開催概要、化学繊維産業のエネルギー消費等の動向についても報告した。