テクテキスタイル開幕 産資もサステテーマに
2024年04月25日 (木曜日)
【フランクフルト=宇治光洋】世界最大の産業用繊維・不織布国際見本市「テクテキスタイル」(メッセフランクフルト主催)が23日(現地時間)、ドイツ・フランクフルトで開幕した。26日まで。産業用繊維でも環境配慮へのニーズの高まりを受けてサステイナビリティーをテーマとした提案が目立つ。
日系企業も多彩に提案している。
テクテキスタイルに出展した日系企業で特に大規模ブースを構えたのが東レ。東レ本体の商材をトーレ・インターナショナル・ヨーロッパ(TIEU)が提案したほか、韓国のトーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア(TAK)、米国のトーレ・フロロ・ファイバーズ〈アメリカ〉(TFA)とゾルテック、英国のトーレ・テキスタイルズ・ヨーロッパ(TTEL)で共同ブースを構える。
特に注目なのがリサイクル繊維を使用したエアバッグやスリングベルト。安全性が求められる用途は物性面への不安からリサイクル繊維の採用に慎重な傾向が強い中、東レとして挑戦する姿勢を見せる。TAKのメタアラミド繊維「アラウィン」による機能紙も披露し、新規用途の開拓に取り組む。松下達TIEU社長は「高機能や安全もサステの重要な要素。世界のユーザーも“サムシング・ニュー”を求めている」として東レの総合力を見せる。
帝人フロンティアがグループの自動車内装材向け不織布製造のジーグラーと共同出展。ポリエステル繊維クッション材「エルク」を自動車用途でも提案する。PFASフリーの膜材や高強力ポリエチレン繊維織物「テクノホーススティール」も紹介し、産業用からスポーツ・アウトドアまで幅広い用途にユニークな商材を提案する。
クラレは高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」の単糸繊度28デシテックスタイプを披露し、産業用だけでなくスポーツ・アウトドア用途への拡大を図る。難燃ビニロン繊維も紹介し、海外市場での拡販を目指す。
カネカは生分解性バイオポリマー「グリーンプラネット」を繊維分野で導入を進める。特に不織布に力を入れており、メルトブロー不織布と湿式不織布を商品化した。スパンボンド不織布とニードルパンチ不織布も開発中。まずはコーヒーフィルターなどの用途で提案し、欧州で普及する家庭用コンポストでも生分解する特性を打ち出す。
東洋紡エムシーは欧州子会社の東洋紡ケミカルズ・ヨーロッパで出展。PBO繊維「ザイロン」、高強力ポリエチレン繊維「イザナス」「ツヌーガ」を改めて紹介し、それぞれの素材特性を生かした用途開拓を目指す。