春季総合特集Ⅳ(12)/Topインタビュー/デビス/社長 デビス・ハニ 氏/業界内外で多様な連携/23年12月期は増収増益

2024年04月25日 (木曜日)

 輸出特化型の生地商社、デビス(大阪市中央区)は2022年12月期で、前期比2倍以上となる売上高98億円を計上した。23年12月期は海外市況の不透明感や大幅増収の反動減も想定していた。上半期は想定していた通り減収基調だったが、下半期で盛り返し、通期では8.2%増の106億円となった。デビス・ハニ社長に戦略を聞いた。

――デビスにとっての共創・協働とは何でしょうか。

 当社は欧米など海外市場向けが売上高の95%を超えますが、各国で契約する代理店との関係も、共創・協業だと言えます。とりわけ欧州のブランドはSDGs(持続可能な開発目標)も絡んで地産地消やローカライゼーションの動きを強めています。生地もできるだけ近くで手配するという流れがあります。これまでのように日本で作って日本で備蓄してオーダーが入ったら海外へ送るという手法ではこの流れについていけません。

 そこで、イタリアなど欧州の代理店などと連携して、現地でプリント下地など染める前の生機を備蓄するべくワークを進めています。現地で染める可能性も視野に入れています。

 欧米ブランドが脱中国の意識を強め、ASEANへ縫製地シフトを進めている今、ASEANの縫製工場とも共創・協働の関係を構築していく必要性を感じており、こちらもワーク中です。

 共創・協働の取り組みとして、卵殻膜繊維「オボベール」の編み地販売を始めました。オボベールは機能性食品開発・販売大手、ファーマフーズ(京都市)の開発商品ですが、繊維業界への販路を持つ当社が代理店的に販売することで協働になります。今後もこのような事例は増えてくると思いますし、オープンコラボレーションの姿勢で繊維業界にとどまらずさまざまなところと連携していきたいと考えています。

 今後は同業他社や素材メーカーとも何らかの共創・協働を実現させていきたいですね。当社は輸出特化型ですので直接的にバッティングすることは少ないですし、プリント生地のオンラインプラットフォーム「Airdye」(エアダイ)などもあります。こうしたプラットフォームを活用してもらえれば、当社も同業他社さんもウィンウィンの関係が築けるはず。同じ趣旨で、日本の紡績会社との共同企画を水面下で進めているところです。

――23年12月期の業績は。

 前期比増収増益でした。売上高は8・2%増の106億円となり、この事業形態としては初の100億円超えです。フランスで頻発したデモや、過度なローカライゼーションなど急進的すぎるエコ意識の中で欧州向けは減りましたが、北米や中東、豪州向けが拡大しました。中東は民族衣装以外の用途です。

 実は売り上げに関しては、もっと伸ばせるほどの需要はありました。しかし日本の産地や染色加工場が人手不足を主要因に納期遅れが顕在化しています。納期を理由に成約に至らなかったケースが頻発しました。たらればではありますが、これがなければあと30%ほど売り上げが伸ばせた可能性があります。「その納期ならオーダーは出せない」という海外ブランドの判断です。これによって離れてしまったブランドがまた戻ってきてくれる保障はない。そこをとても心配しています。

――それほど機会を失いながらも拡大できたのはどういう理由でしょう。

 当社の主力である中高級ゾーンのファッション衣料が世界的に好調なことが一つの背景です。そのブランドたちに当社の生地が選ばれているということであり、それは本当に光栄なことです。

 ファブリックメード・イン・ジャパンとラベルに表示をする欧米ブランドが増えています。民族衣装以外の中東でも同じニーズがあります。それほど「日本製」には訴求力があるということです。観光地としての日本が全世界的に人気なことと同じですね。

――今期の見通しは。

 増収計画ではありますが、競合が増えていることもあって下方修正の可能性も想定しています。一方、縫製品での納品を希望するブランドが増えているため、ASEAN縫製工場グループとの協業を強化します。

〈最近のプチ贅沢/勇気を出して一人セレブ飯〉

 ハニさん、実はシャイな性格の持ち主で一人で外食するのが苦手だが、最近、「ミラノ・ウニカ」の際に訪れたミラノで初チャレンジし、思いのほか楽しかったそう。レストランに入り真剣な顔をして料理の写真などを撮っていると、他の客よりも手厚いサービスを受けることができたと言う。「有名インフルエンサーか、ミシュランの選定員に勘違いされたのだろう」と笑うハニさん。挑戦の先に得たプチ贅沢な時間。

【略歴】

 1996年デビス入社。2008年取締役副社長、21年4月代表取締役社長