春季総合特集Ⅳ(16)/Topインタビュー/田村駒/社長 堀 清人 氏/アジアでの横展開に注力/海外事業強化は重要課題
2024年04月25日 (木曜日)
田村駒は3月、創業130周年を迎えた。モノ作りを基礎にしたビジネスモデルを構築し、それを多方面に広げる形で企業成長を遂げてきた。2023年、大きな節目を前に、堀清人氏が社長に就任した。事業環境の変化が激しさを増す中、商社の将来像をどのように作っていくのか。堀社長に今後の事業の展望などを語ってもらった。
――どのような共創・協働の取り組みがありますか。
自社グループ内の取り組みとしては、アジア各国の事業所や生産地の横のつながりを生かし、生産と販売の両面でビジネスの発展を追求しています。繊維事業についても、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジア、インドなどをつなげるような視点を持てば、伸び代が見込める地域だけに、ビジネスチャンスが生まれると期待できます。
他社との取り組みでは共同配送が挙げられます。運転手不足などの物流問題に対応するため、豊島、スタイレム瀧定大阪との3社で一部の商品の配送ルートを共有しています。国土交通省から物流総合効率化法の認定も受けています。結果的に二酸化炭素(CO2)の削減にもつながりますので、社会的意義のある施策だと思います。
――23年度(24年3月期)を振り返って。
外出需要の増加により、アパレル関連は好調でした。インバウンド(訪日外国人)の増加の影響は大きく、ホテル業界の活況で寝装品の需要が拡大するなど効果は広く波及しています。聞いたところでは、アパレルについても、高級ゾーンだけでなくショッピングセンター向けの消費も、インバウンドが支えている部分が大きいそうです。
自社の取り組みで成果を上げたのは、バングラデシュでの生産管理強化で、収益性が高いモノ作りが実現しました。
全体の業績は過去最高益の見通しで、細かい努力を着実に積み重ねた成果だと捉えています。
――今後の重点的な取り組みは。
海外事業のレベルアップが重要な課題です。
国内での素材作りが厳しくなる状況を受け、中国で素材調達をカバーする生産背景を整えました。
最近では海外で築いた生産体制の発信も始めました。2月にバングラデシュに特化した展示会を初めて開催しました。サステイナブル対応が進む現地工場の魅力を紹介したほか、アパレルだけでなく雑貨や寝装品の製造も手掛けられることを訴求しました。
続けてインドをテーマにした展示会も大阪と東京で開き、インド綿を使った衣料品やインテリア、キッチン、雑貨と幅広いニーズに対応する体制を発信しました。
消費行動の変化に伴い、OEM/ODMの形も変わっていく中、今後は提案の幅を広げていかなければなりません。
海外での新しい取り組みでは、既に発展の兆しを見せているものがあります。ニュージーランドの原毛を中国で紡績し、ベトナムで編みと縫製を行うインナーなどを北米に輸出しています。田村駒の機能を存分に発揮できるスキームとして打ち出しています。羊毛原料までのトレーサビリティーを証明する国際的認証「RWS」も取得し、着々と事業基盤を整備しています。
――事業会社について。
田倉繃帯工業(東京都八王子市)が石川県内灘町で操業する北陸工場が、能登半島地震で被災しました。新しい第2工場は稼働に問題なかったのですが、第1工場は損傷が激しく、いまだ完全な復旧には至っていない状況です。将来を見据え再投資も検討しなければなりませんが、同工場の復活が地域復興にもつながりますので、支援を続けていきます。
――創業130周年に対する思いを。
歴史を重ねるには信用が最も必要だと改めて感じています。当社は積み上げたモノ作りのノウハウを背景にして事業領域を広げ、時代の変化を乗り越えてきました。
一方、家族的な社風は変わらず、今も社内行事が残っており、入社式に全社員が集まる慣習も続いています。いつの時代も全ては人であり、将来を担う人材の確保、育成は最重要課題です。採用活動や社員研修にも、新しい試みを取り入れていきます。
〈最近のプチ贅沢/貴重な伊勢神宮の特別参拝〉
「伊勢神宮には何度か訪れたことはあったが、3月に行った際には特別な参拝ができた。厳かで神聖な空気をより強く感じた」と話す堀さん。創業130周年記念行事として、取締役・執行役員がそろって行った伊勢神宮参拝では、好位置で神事を体験できたと言う。「取引先の計らいで実現した。その気遣いもありがたい」。自社の大きな節目と重なる出来事だけに、「131年目は幸先良くスタートを切れた気がする」と喜ぶ。
【略歴】
ほり・きよひと 1985年4月田村駒入社。2013年4月執行役員経営企画室長兼関係会社統括室長、16年6月取締役、19年5月田村駒エンジニアリング代表取締役社長、21年6月常務を経て、23年6月に社長就任





