繊維ニュース

テックスプロセス 自動化とIoT加速へ

2024年04月26日 (金曜日)

 【フランクフルト=宇治光洋】世界最大の産業用繊維・不織布国際見本市「テクテキスタイル」と同時開催中の縫製関連機器国際見本市「テックスプロセス」で、日系メーカーも充実した提案を行っている。自動化とIoT対応の流れが一段と加速したほか、自動車などをターゲットとしたノンアパレル用縫製機器も大きなウエートを占める。

 JUKIは「テクテキスタイル&テックスプロセス・イノベーション・アワード」を受賞したアパレル用本縫いミシン「DDL―10000DX」を披露。生地送りを上下左右に自動制御することでイセ込み部分など従来はオペレーターの技量に大きく依存していた立体的な縫製を容易にこなすことができる。同社によると世界初の技術となる。

 ミシンに搭載する自動機にも力を入れる。協力関係にあるトルコの自動機メーカー、アストロンの自動機搭載ミシンをJUKIでチューニングしたモデルを「ジェイトロン」として紹介した。

 ノンアパレル用はカーシート向けの1本針パターン縫いミシン「AMS―251」を紹介。ヘッド自体が回転することで縫い方向が変化しても縫い目のヒッチを防止する。また、セミドライヘッド本縫い総合送りミシン「LU―2828V―7」は縫製データを自動的に保存・出力することで統合管理システムと接続することができる。

 ブラザー工業は協力関係にあるイタリアの自動機メーカー、Sipイタリーと共同ブースを構えた。アパレル向けプログラム式電子ミシン「BAS―342JX」は内蔵する生地厚センサーによって縫製ミスを事前に検知するほか、業界初となる糸張力センサーによる不良検知システムも搭載した。「BAS―326H―484」は新開発のマガジン方式ボビンチェンジャーを搭載し、ボビン交換の精度が高まった。

 ノンアパレル用は厚物縫製に対応した総合送りミシン「UF―8910―101」でシリンダーベッドやポストベッドタイプもラインアップに加えた。

 刺しゅう機のタジマ工業はネットワークソフトウェア「パルスDX」を紹介した。大規模工場向けに生産管理の統合管理が可能なことに加え、多品種小ロットの刺しゅうを効率的に生産するパーソナライゼーション機能を打ち出す。リコーと連携した刺しゅう機システムも紹介。リコーの転写プリンターのデータを取り込むことで効率的にプリントと刺しゅうの複合加工を実現する。

 バルダンは多頭式刺しゅう機「BEKS―Y912」に自動ボビンチェンジャーを搭載する。「BEKS―HLCLZ1101」は通常刺しゅう、サガラ刺しゅう、本縫いハンドル刺しゅうを1台でこなすトリプルコンビネーション機。服飾雑貨やインテリア向けで複雑な刺しゅうを効率的に行う点で注目された。