寝具業界を変える 先進 のフレスコ  (後)

2024年05月15日 (水曜日)

先駆的事業に時代追い付く

 フレスコ(大阪市中央区)は、ふとん丸洗いシステムを全国に普及させるため、1994年に設立された。ふとん丸洗いの新技術とウオッシャブルふとんを開発・提供する「フレスコウォッシングシステム」を軸に、丸洗いに関する機器・薬剤・ウオッシャブルふとんの研究開発と関連商品の物品販売、ふとん丸洗いの仲介業務などを担う。

 96年に同システム推進のネットワークとして商社や合繊メーカーも参画したフレスコサークル会を設立。97年には同システムを採用する提携工場の募集を始めた。98年に工場の受注活動を側面支援する目的で、ふとん3枚を1万円で丸洗いする個人向け宅配サービスを自社インターネットと通販で始めるなど積極的に事業展開した。

 同社の主な収入源は、提携工場への洗濯機器の販売や仲介、洗剤などの関連消耗品の販売、個人顧客の注文仲介などになるが、99年2月期まで赤字決算が続いた。

 ふとんを洗う習慣があまり普及していなかった中で厳しい経営を強いられた時期もあったが、経営理念に掲げる「寝具の清潔性を追求し安全で快適な睡眠環境を創ることで一人でも多くの人の健康に貢献する」思いは一貫してぶれることがなかった。

 2002年8月にダスキンと業務提携するなど広がりを見せ、経営が安定。同システムを採用した認定工場は現在、直営2拠点を含めて20に上る。

 洗えるふとんの開発にも積極的に取り組んだ。94年に耐洗濯回数30回をクリアした基準寝具(病院用)「ウォッシャブルふとん」の販売を始め、98年に東洋紡のクッション材「ブレスエアー」を採用したウオッシャブルマットレスを開発。99年には業界に先駆けてサークル会でウオッシャブルふとんの品質基準を策定し、洗えるふとん作りに貢献してきた。

 そして現在、フレスコの創業時からの考えが時代とマッチする。同社のふとん丸洗いは、SDGs(持続可能な開発目標)の点からも適している。30年以上丸洗いしながらリースし続けている寝具が多数あり、最新の化繊ふとんは耐洗濯回数が数百回に上る。自社テストでは、羽毛ふとんを100回洗っても問題がなく、丸洗いでふとんをメンテナンスすることで長く使えることを実証している。

 洗い工程でも省エネルギーに貢献する。平面乾燥機を導入して上部から熱風を流し、下部で吸引して暖気の約80%を循環させることで、タンブラー乾燥と比べてエネルギー使用量が2分の1~3分の1になる。同システムでも、ふとんをふっくら復元するためにタンブラー乾燥を併用するが、平面乾燥機の工程を入れることで乾燥効率を高め、タンブラー単体での乾燥と比べて、トータルエネルギーを削減できる。

 水の使用量も、1度に数十枚単位で洗えるため、1枚当たりで換算すると、コインランドリー、家庭用洗濯機と大きく変わらないと説明する。

 15年に父の正一郎氏から後を継いだ前田正芳社長は、ふとんが洗えるコインランドリーや、衣類以外のクリーニングに力を入れる業者が増えていることに触れ、「さらに市場が拡大していく状況が始まった」と歓迎しながら、中わたまでしっかり洗える高品質、かつ省エネで量産が可能な同社の丸洗いの優位性を説く。「フレスコウォッシングシステムを普及させ、日本中の寝具を清潔にし、皆さまの健康に貢献していきたい」と前を見据える。(おわり)