LIVING-BIZ vol.106(11)/ふとん地製造卸/APP/青島徳隆紡織/nishikawa
2024年05月16日 (木曜日)
〈ふとん地製造卸/価値高めた羽毛ふとん“側”/生分解性や昼夜織風など〉
ふとん地製造卸は、4月展示会で生分解性ポリエステル使いや、型押し加工による立体感など価値を高めた羽毛ふとん“側”(中わたを入れる前の半製品)を提案した。
ふとん地製造卸は、気温上昇や消費マインドの冷え込みで23秋冬向けの羽毛ふとん側の販売が低調だった。24秋冬に向けても製品の流通在庫が残っており、厳しさが見込まれるが、価値を高めた羽毛ふとん側などを打ち出し、拡販に努める。
蔭山(大阪市中央区)は、生分解性ポリエステル使いの羽毛ふとん側を訴求した。原料の一部に工場から出る二酸化炭素(CO2)を、COとOに分離させ、COを利用してポリエステルを製造。特定条件の堆肥(愛知県にある牧場の高温の堆肥)に埋めると、約1年かけて水と二酸化炭素に分解する。焼却した場合と比べて二酸化炭素を4割程度削減できると言う。ふとんの中の仕切りのマチや縫い糸も含めて全て生分解性ポリエステルと綿使いの側で、回収後に素材を分ける必要がなく扱いやすくした。
同堆肥での生分解は、同ポリエステルだけでなく、綿100%やシルクにも対応できると言う。
素材の弾力性を生かして「マシュマロ触感」の肌触りを追求した羽毛ふとん側「ソブラーノ」も新たに打ち出し、カバーなしで夏場も使える合い掛けふとん用などへ訴求する。このほか吸湿冷感機能を持つサマーケット「ミスティクール」も打ち出す。
丸ホームテキスタイル(大阪市中央区)は、ポリエステル100%ながら熱による型押し加工で凹凸の模様と独特の手触り感を持たせたストライプ柄の羽毛ふとん側を打ち出す。高級感のある昼夜織(経糸の密度を混ませて緯糸が見えないように織り表裏がリバーシブル)風で、ホテル用途などへも訴求する。綿50%・モダクリル50%使いで日本防炎協会認定の防炎生地「スーパーフォスモ」は従来の無地に加えて、プリント柄を初追加した。
〈APP/「マヨタエ9490」発売/ヘンプの寝具コレクション〉
エンターテインメント・カンパニー、エイベックス傘下のエイベックス・アライアンス&パートナーズ(東京都港区、APP)は6月、大麻布(ヘンプ)ブランド「majotae(マヨタエ)」の寝具コレクションを発売する。
柳原照弘デザイナー主宰のテルヒロ・ヤナギハラ・スタジオがプロダクトデザインした、初のフラッグシップライン。人は一生で平均9490日眠ることから、「マヨタエ9490」と名付けた。掛けふとんと枕のカバー、フラットシーツで構成(価格未定)。オンラインストアによって国内外で販売する。
大麻布は古来、神事の装束から野良着まで生活の中で広く使われたが、産業革命以降に機械化が進むと紡績に適さないと、ほぼ生産が途絶えていた。しかし、大麻は痩せて乾燥した土地でも成長が早く環境負荷が低いことから、今再び世界で注目されている。夏は涼しく冬は暖かく、速乾性や抗菌・防臭性にも優れている。
そうした大麻布の特性を生かし、現代の技術でよみがえらせたのがマヨタエ。2011年からエイベックスが展開している。不可能と言われた大麻繊維100%を機械で織ることに成功(国際特許取得)、ハリがありながら柔らかくしっとりした風合いに仕上げ、硬くザラザラとした大麻布のイメージを一新した。
その風合いをより多くの人に体感してもらおうと、肌に最も触れ続けるファブリックの一つである寝具に着目。マヨタエ9490が誕生した。レンガ色やライトブルーなど全10色展開。掛けふとんカバーと枕カバーには着物の重ねをイメージしたデザインを施した。
4月のミラノデザインウイークで披露すると、大きな反響を呼んだ。サステイナブルでラグジュアリーな寝具コレクションとして、グローバルに展開していく。
〈青島徳隆紡織/環境切り口に提案/カポック使いも〉
寝装・インテリア企画製造のリュクス(大阪市西区)のグループ企業で、対日貿易などを手掛ける中国の青島徳隆紡織(山東省)は、日本で環境を切り口とした寝具寝装の提案を強める。
同社は対日100%。ふとんカバーや敷パッド、キルトケットを生産する安丘徳隆寝装用品(山東省)など三つの生産工場を持ち、高速本縫いミシン350台以上、コンピュータキルティング機12台、単針キルティング機4台、ボンディング機2台がある。
環境対応品では、カポック使いの敷パッドやふとんカバー、肌ふとんを訴求する。これまでも中わたにカポックを使用した寝具寝装を手掛けてきたが、25春夏に向けてカポックと綿、またはレーヨンの混紡糸使いの生地にも対応する。カポックの実は、1本の木から約50年間毎年収穫ができ、吸湿発熱性や抗菌防臭、防ダニの機能がある。
排水が少ないインクジェットプリント使いで最小50枚程度から対応可能な寝装も提案する。
このほど大阪市内で開かれた「AFF大阪2024春」でも訴求した。
〈nishikawa/ハンガーで干せる速乾敷パッド〉
nishikawaは、ハンガーで干せる速乾敷パッドを4月下旬に発売した。吸水速乾性に優れ、洗濯しても早く乾き、畳んでコンパクトに干せる。
「サラフロー 速乾『干すらく』敷きパッド」として打ち出す。中わたを使用せず、シームレスタイプで吸水速乾性に優れ、洗濯(洗濯ネット使用)しても早く乾く。畳めばコンパクトになり、洗濯機でまとめ洗いや、衣類と一緒に洗濯することも可能。干す際も、敷パッドの横側に付いている8カ所のスナップボタンを留めることで、四つ折りにしてハンガーにつるして省スペースで干せる。
ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル使いで、インナーウエアにも使われるサラっとした肌ざわりと、寝返りのたびに熱を素早く逃がすようにした。表生地に抗菌加工も施す。シングルで1万1千円から。
ケット「サラフロー爽ブリーズケット」も打ち出す。中わたを使用せず、ハニカムメッシュを内蔵した空気が通り抜けるような構造で、蒸れを軽減し、エアコンの冷気をマイルドにしながらメッシュ部分で通気する。価格は1万4300円。