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東洋紡/庄川工場で紡績棟開所式/射水市から世界へ

2024年05月17日 (金曜日)

 東洋紡は15日、繊維事業の生産拠点である庄川工場(富山県射水市)に新設した「紡績棟」の開所式を執り行った。竹内郁夫社長、清水栄一常務執行役員兼東洋紡せんい社長ら約40人が出席した。竹内社長は「紡績で培ったノウハウやモノ作りのカルチャーを生かし、射水市から繊維製品を世界に展開する」とあいさつした。

 同社は2021年11月に、同県内の生産拠点である井波工場と入善工場の生産を24年3月までに休止し、庄川工場に生産機能などを集約すると発表。休止2工場から紡績工程の一部を移設するに当たり紡績棟を建設し、従来の織布・加工と合わせ、糸からの一貫生産体制を整えた。

 紡績棟は鉄骨・平屋建てで、延床面積は1万2800平方メートル。投資額は公表していないが、最新の生産設備を導入し、素材ごとに複数の生産ラインを設けている。多品種・小ロット・短納期生産といった市場のニーズにきめ細やかに対応可能な最先端の紡績工場を目指す。

 竹内社長は「糸から織物、加工までの一貫生産工場となり、全体の競争力、開発力も高まった。今後は人々の暮らしを支える多様な付加価値を発信する工場にしたい」と話した。清水常務執行役員は「事業収益の拡大に向けて工場と営業が一心同体になって進んでいく」と強調した。

 庄川工場は、1934年の設立。敷地面積は約14万9600平方メートルで、従業員数は268人(4月25日時点)。長短複合繊維や中東民族衣装用生地、吸湿発熱繊維などを生産している。