東洋紡せんい・学販向け3月期/製品拡大で増収増益/ニット地販売も堅調
2024年05月21日 (火曜日)
東洋紡せんいの学販向けの前期(2024年3月期)は、ブレザー向けニット生地の販売や、ポロシャツ・体操服など製品OEMの拡大によって前の期比で増収増益になった。製品OEMの売上高はここ数年で年率3~4%増となっており、前期は学販向け全体の売上高に占める割合がほぼ半分となった。引き続きインドネシアの縫製拠点シンコウ・トウヨウボウ・ガーメント(STG)などを通じた製品供給に力を入れる。
前期は下半期から学生服メーカーが前倒し生産を強めていた反動による在庫調整の影響を受けたものの、「計画通りに推移した」(川端圭二営業本部スクール事業部長)。LGBTQ(性的少数者)への配慮から制服モデルチェンジでブレザー化が進んだことで、ポリエステル高混率の高密度丸編み生地を中心にブレザー用途の素材販売が拡大。前期比で1・5倍に増えた。ダブルニット構造でかさ高性と軽量感のある生地「エックスジャケット」の受注も増えた。
優れた紫外線遮蔽(しゃへい)性と防透け性を持つ生地「レイブロック」などを使ったポロシャツや体操服といったニット製品の供給も拡大。定番商品ではインドネシアの縫製拠点のSTGを活用するとともに、国内の自社工場や協力工場では追加受注のフォローを中心に対応するなど「国内外で連携しながら効率化も進んだ」。
今期も増収増益を計画する。製品OEMでは新規の協力工場の開拓を進めるとともに、STGではまだ生産していないブレザーやボトムスといった重衣料関連も「要望が出てくれば対応できるようにしておきたい」。特にニット生地使いのボトムスでは地糸切れしやすいなどの課題もあるが、技術革新にも取り組む。
高通気でありながらも防透け性が高い「サマークール涼夏」や、洗濯脱水後の乾燥スピードを向上させた「速衣バージョンS」といったニット地、ダブルフェースの丸編み地を使った新発想のセーター「NEOセーター」といった製品など、独自性の高い商品で新たなニーズを捉える。
製造コストに加え、「小口出荷や保管費といった物流での値上げが一気に来ており、どうするか課題」とする。前期は学生服メーカーによる前倒し生産が加速したことで、在庫が15%ほど増えた。為替や原燃料費・人件費の上昇などさまざまなコストアップが見込まれることから引き続き値上げも進める。