先進課題への回答  テクテキスタイル &テックスプロセス 2024(9)

2024年05月24日 (金曜日)

将来への道筋を確立

 「テクテキスタイル&テックスプロセス2024」(4月23~26日、ドイツ・フランクフルト)は、課題が山積する繊維産業が、イノベーションを原動力として将来への道筋を確立する機会として存在感を発揮した。

 周辺機器やツールメーカーにとっても最新のソリューションを世界に披露する機会として大きな意味を持つ。刺しゅう機のタジマ工業はネットワークソフトウエア「パルスDX」を紹介した。大規模工場向けに生産の統合管理が可能なことに加え、多品種小ロットの刺しゅうを効率的に生産するパーソナライゼーション機能が注目された。

 リコーと連携した刺しゅう機システムも紹介した。リコーの転写プリンターのデータを取り込むことで効率的にプリントと刺しゅうの複合加工を実現する。刺しゅうとプリントは同じ加工場で合わせて施されるケースが多いため、効率性向上が期待できる。

 バルダンは自動ボビンチェンジャーを搭載した多頭式刺しゅう機「BEKS―Y912」を披露。また、通常刺しゅう、サガラ刺しゅう、本縫いハンドル刺しゅうを1台でこなす「BEKS―HLCLZ1101」は服飾雑貨やインテリア向けで複雑な刺しゅうを効率的に行う点で注目された。

 19年以来の出展となるハッピージャパンは最新鋭の単頭式刺しゅう機「HCU2」を披露した。最高作動速度毎分1500回転で、自動布圧検知システムを備える。布押さえ高さ調整はデジタル制御となった。世界最小クラスのシリンダーヘッドによって細い筒物への刺しゅうに対応する。

 ハシマは検針機「HN―R880CS」を披露した。検針とRFID(無線通信による個別管理システム)データ読み取りを同時に行う業界初の機能を実現した。検針履歴とRFIDデータをひも付けることで正確な在庫管理が可能になる。

 刃物・はさみの貝印はアラミド繊維や炭素繊維など高機能繊維の裁断に対応したはさみのラインアップを紹介した。近年、はさみによる裁断は加工最終段階での仕上げや調整など細かな作業で使用される頻度が高まっていることから、小型タイプも充実させた。日本製刃物・はさみの品質や性能に対する評価は高い。

 今回のテクテキスタイル&テックスプロセスについて、フロイデンベルグ・パフォーマンス・マテリアルズのグローバルマーケティング&コミュニケーション担当バイスプレジデントのホルガー・ミヒャエル・シュタイングレーバー氏は「持続可能性が業界の包括的なテーマであることが明確になった。学生や若いイノベーターの来場も多く、当社のソリューションに関して具体的な引き合いがあったことに驚き、うれしく思う」と話す。

 レンチングのグローバルセールスディレクターであるオリバー・スポッカー氏も「貴重な顧客との接点を維持し、新しい顧客を獲得することができた。来場者の多様性も印象的で、リサイクルの重要性が高まっていることは明らかだ」。

 特に先進国では、繊維産業の先進課題に対してどのような回答を用意するのかが問われている。そのための道筋を確立する一定の役割を、今回展は果たしたと言えよう。(おわり)