帝人フロンティア/高通気と紫外線遮蔽両立/織物に“すだれ”構造
2024年05月24日 (金曜日)
帝人フロンティアは、“すだれ”の構造を応用することで高通気性と紫外線遮蔽(しゃへい)性を高レベルで両立したポリエステル織物「爽多」(そうた)を開発した。25春夏向けからファッション・カジュアル衣料用途を中心に販売を開始する。2024年度(25年3月期)に25万㍍、27年度に75万㍍の販売を目指す。
近年、日本の夏は「猛暑」「酷暑」と呼ばれるような気温の非常に高い日が多い。このためファッション・カジュアル衣料でも暑さ対策の機能を持つ素材への要求が高まっていた。
ただ、暑さ対策の機能として重要になる高通気性と紫外線遮蔽性は繊維間空隙の有無や大小によって左右される。空隙を増やせば通気性は高まるが、紫外線遮蔽性は弱まるなど、両者はトレードオフの関係にあるため、両立させる機能の実現は難しいとされてきた。
これに対して帝人フロンティアは、日差しを遮断しながらも風を通す“すだれ”の構造に着目。織物にスリット状の高通気部分を設け、3次元的に空間を開けることで高い通気性を持ちながら紫外線を遮断する爽多を開発した。織物構造だけでなく、原糸には機能の複合化を可能にする特殊高捲縮化技術を採用しており、安定した複合加工も可能な染色加工技術も応用した。
同社の調べでは、通気性は「JIS L1096A法」準拠で毎秒50立方センチ/平方センチを確認し、紫外線遮蔽率も「JIS L1925」準拠で85%以上を確認している。また、糸の収縮差と特殊構造によるべとつき防止性があるほか、伸縮性繊維と特殊構造によるストレッチ性も併せ持つ。再生ポリエステル繊維を交織することで環境負荷低減にも配慮した。