長谷虎紡績/カシミヤなど高級路線/MUで“ワクワク感”
2024年06月07日 (金曜日)
長谷虎紡績(岐阜県羽島市)は、7月9~11日にイタリアで開かれる国際生地見本市「ミラノ・ウニカ」(MU)に出展し、カシミヤ使いなど高級素材を軸に打ち出す。「ワクワクするような、楽しみながらのモノ作り」を感じられる素材群で輸出拡大の突破口を開く。
同社のMUへの出展は3回目。まだ大きな取引までには至っていないものの、着分の見本反依頼は増える傾向にあると言う。今回のMUでも保温性の高いリサイクル原料使いの中わた材「光電子リンサレーション」や、人工タンパク質繊維「ブリュード・プロテイン」、ポリ乳酸繊維「PlaX」(プラックス)などを使った独自性の高い素材を発信。比較的来場者の「反応が良かった」デニムに加え、メゾンブランドでは高級原料を使った素材に関心が高いことから、カシミヤ使いの素材開発にも力を入れる。
デニムでは東洋紡糸工業(大阪府忠岡町)のカシミヤ原毛の最高峰であるベビーカシミヤ糸を使い、日本綿布(岡山県井原市)で織った13オンスのコットンカシミヤセルビッヂデニムを開発。緯糸にベビーカシミヤ糸を使い、カシミヤの混率は44・5%になる。「シワが入りやすく、バイオ加工もできず、取り扱いが難しい」ことから開発に苦労したが、カシミヤの柔らかい風合いとともに、肌触りが良く質感の高いデニムに仕上げた。
生地だけでなく、湯峰ソーイング(岐阜県飛騨市)の協力を得て作成したデニムのセットアップの製品も展示する予定。セルビッヂの耳をデザインのアクセントに取り込み、カシミヤデニムの魅力を最大限に引き出す。
ヤマヨジャージィ(和歌山市)とは特殊な編み機を使い、表面にリサイクルウール・カシミヤ混糸、裏面にポリエステル糸を使ったクォーターニットを開発。表地は8ゲージのざっくりとした粗い編み地、裏面は32ゲージの高密度に編み立てた。横編み風に見え、かさ高でありながらも見た目以上の軽さを実現した。
日本で2台しかないとされる最新裏毛編み機を活用し、高純度微粒子セラミックス練り込みポリエステル機能繊維「光電子」の無撚糸を裏に、接結に高収縮のポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」を使った裏毛生地も開発。機能性のある「テンセル」リヨセルによって消臭機能もある。ポリウレタンを使わなくても伸び感とキックバックがあり、耐久性が高い。
光電子リンサレーションでは1メートル当たり30グラムと軽量化した生地を打ち出すなどバリエーションを拡大。短納期を求められることからストック販売の生地も用意する。