中国OEM企業の今 「AFF・東京24夏」レビュー【上】
2024年06月12日 (水曜日)
欧米向け実績を生かす
日本最大級の繊維・ファッションOEM・ODM展示会「AFF・東京2024SUMMER」がこのほど東京都内で開催された。会場の東京ビッグサイトには中国と東南アジアのメーカーや商社450社以上が集い、多種多様なアイテムを並べた。各社は日本企業に何を提案し、どのような期待に応えようとしたのか。動きを追った。
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今回が41回目の開催だったAFF。ブース数は約550を数え、第1回(当時の名称はCFF)と比べて7・5倍の規模に発展した。日本市場を有力視する企業は多く、新規参入を狙って初出展した企業の姿も目立った。初出展企業は欧米向けなどで重ねてきた実績を生かし、日本市場開拓を狙った。
寧波勤実貿易は初出展企業の一社だ。アウトドアウエアやヨガウエアなどを中心とする同社は、姚麗霞社長が2003年に服飾工場を設立したのが始まり。15年に寧波市にオフィスを開設し、19年には年間生産額が2500万㌦を超え、商品は世界40カ国以上で展開されるようになった。
姚社長は「日本市場向けを増やしていきたいと考えている」とし、小ロットから大ロットまで幅広く対応する。防水や防火といった特殊加工を施したウエアのほか、環境負荷低減も強化している。リサイクル糸や竹繊維に加え、織物では非フッ素対応にも目を向けているとした。
レッグウエアと一部婦人インナーを展開する杭州正熙網絡科技も初めての出展。中国国内でも新型コロナウイルス禍によるストッキング離れの影響があったが、同社は19年の設立以来売上高が右肩上がりを続ける。「日本市場向けで成長している中国企業は多く、当社も日本市場の開拓を目指す」と強調した。
展開するストッキングは、薄くて滑らかなタッチが特徴であるほか、チョコレートなどの香りを付与している。商品の開発力にも自信を示し、1カ月で2、3種類開発するという。「当社の商品は10~30代の若い世代にファンが多い。日本市場にも若年層の支持が得られるような商品を届ける」とした。
杭州保利グループは1993年の設立以来、豪州や米国、欧州、中東市場向けなどで販売実績を重ねてきた。グループのうち、杭州太平洋保利紡織品は、ニットウエアやパジャマ、ルームウエアの製造を主力とする。現在は、日本市場向けはないが、今後の本格開拓に向けてAFFに初出展した。
同グループには、年間生産量2400万点を誇る杭州太平洋保利紡織品のほか、浙江省に二つの製造拠点を持つ。生産ロットは300枚から10万枚まで柔軟に対応し、小ロット品は協力工場を含めた中国国内で、大ロット品はエジプトとカンボジアの協力工場で生産する。
エジプトは米国向けの拠点としても注目を集めていると言う。