shoichi 在庫処分サービス欧州へも
2024年06月14日 (金曜日)
アパレル商品の在庫処分サービスを展開するshoichi(大阪市中央区)は、7月9~11日にイタリアで開かれる国際服地見本市「ミラノ・ウニカ」(MU)に初めて出展する。欧州連合(EU)では2025年から売れ残った衣料品の廃棄を禁止する法律が施行される予定を受け、日本で構築している廃棄された衣料を「集めて加工するという完全な強み」(山本昌一代表取締役CEO)を発信するのが狙い。
同社は、企業の余剰在庫を買い取り、アパレル製品を低価格で販売するビジネスを展開する。一部で在庫をフェルトや再生ウール製品などリサイクル製品の素材として買い取るサービスも展開しており、その仕組みを欧州へも紹介する。
リサイクルは手間やコストがかかるというイメージがある。同社はそれを覆し、自社倉庫内で協力就労支援施設を活用して作業を完結させているため、商品や情報の流出リスクを抑えるとともに、コストメリットも追求できる仕組みを構築する。
既にアジアへ廃棄処分に回されるアパレル商品を販売。欧州でも在庫処分の衣料を「コストメリットを出しながら、フェルトやリサイクルの生地にできる」強みをMUで発信することで、新たなビジネスの機会を捉える。
自社の取り組みをパネルやモニターで紹介するほか、ウールのリサイクル事業で展開している大和紡績(愛知県一宮市)で生産したニット糸や、大津毛織(大阪府泉大津市)で生産した丸編み地といったテキスタイルを展示する予定。製品も紹介する。
欧州からの廃棄衣料の輸送方法などは商談が「決まってから考える」として、まずは認知度の向上に取り組む。展示会への出展そのものも初めてとなるが、両社との連携で「勝ちパターン」を描ける仕組みの構築を目指す。
カシミヤでリサイクル糸開発
shoichiはこのほど、リサイクルカシミヤ30%混の糸を開発した。糸はつなぎとして物性を安定させるリサイクルナイロン15%のほか、16・5マイクロ㍍のバージンウール55%を混紡している。カシミヤは原料調達が難しく、白や明るい色は飛び込みが起こると目立つため、ベーシックな色味での展開となる。
他にも上質なスーパー170のリサイクルウールを使った、リサイクルナイロン・バージンウールの混紡糸も開発した。リサイクルウールが20、40%混の2種類を用意。スーパー170の混紡糸は紡績工場での仕入れ状況によって要相談となるが、ある程度好きな色が出せると言う。いずれも15毛番手となる。
同社はウールのリサイクル事業を本格化しており、尾州で反毛や紡績し、泉州で編み立てや縫製する仕組みを整えている。新たに開発したリサイクルカシミヤ糸やスーパー170のリサイクルウール糸をMUで展示するほか、製品展開にもつなげる。