中国OEM企業の今 「AFF・東京24夏」レビュー【下】

2024年06月14日 (金曜日)

ユニフォームに着目する企業も

 大連易中進出口は2015年の設立以来、浴衣を主力として和装品を専門にOEMを担ってきた。崔丕森執行董事が日本に留学していた時代に、温泉旅館に勤務した経験が事業の元になった。浴衣に興味を持った崔氏は、後に和装に特化したOEM事業を立ち上げた。

 新型コロナウイルス禍で事業の様相が一変した。日本でさまざまな祭りの開催が見送られるのに伴い、浴衣の需要は激減した。状況打開のため、新たに請け負い始めたのがユニフォーム分野の製品だった。

 現在は入院着を中心に医療関連の制服を手掛ける。自社工場を持つ強みを生かし、多様な需要の獲得を目指す。

 石家庄碩蘭紡織廠は、生地と製品の生産を行う。製品はカジュアルを主力とするが、病院向けの制服も受注するなど生産領域は広い。

 全体の70%は欧米向け、残り30%は中国国内向けという売り上げ構成比だが、日本向けにも事業領域を広げるため、初めて日本での展示会に出展した。同社が生産した商品が欧米から日本に輸出されるケースもあることから、日本の高度な要求にも応えられるとみて、日本企業との直接の取引を目指す方針を固めた。

 出展担当者は「高級な生地の扱いにもたけている当社は、品質を重視する日本流のビジネスにも適応できるはず」と自信を示した。

 帝聖紡織品貿易はスポーツとカジュアルを主力とする。中国国内に加えカンボジアやミャンマーで築いた生産背景もアピールし、多様なニーズに対応可能な供給体制を伝えた。

 日本向けが70%、欧米向けが30%で、環境対策にも力を入れる姿勢を示すため、関連する認証を数多く取得している。小ロット短納期のニーズにも対応する。

 南通悦普国際貿易は、メンズ・レディースを問わず織物と丸編みの中高級品を手掛ける。日本向けが100%で、小ロット短納期のニーズにも「10年前から対応し続けている」(出展担当者)という。

 冷感、UVカット、撥水(はっすい)といった機能性を持つ素材を積極的に取り扱い、提案の幅を広げている。

 「ニーズの多様化にも対応できるのが、長年にわたる日本企業との取引で培ってきた〝南通の強み〟だ。今後を見据え、生産現場のデジタル化も前向きに検討したい」と気概を見せた。(おわり)