山梨県と東レなど
2024年08月08日 (木曜日)
山梨県と東レなどが開発を進めてきた、水の電気分解から水素を製造する技術「P2Gシステム」コンパクトモデル(ワンパックP2Gシステム)の1号機が、大成建設グループの大成ユーテック川越工場(埼玉県川越市)に導入された。
同工場はガスボイラーを使用しているが、そのうちの10%を水素ボイラーに置き換えたいとしている。
ワンパックP2Gシステムの技術開発は、山梨県企業局と東レ、東京電力エナジーパートナーなどが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の採択を受け、2021年度から実施している「水素を熱源とした脱炭素エネルギーネットワークやまなしモデルの技術開発」の一環として行っている。
水電解装置や水素気液分離管、整流器、変圧器などが40フィートのコンテナにワンパッケージ(基本パッケージ)になっているのが特徴で、500㌔㍗級。コンテナごとクレーンでつり上げてトラックで運べる。川越工場では基本パッケージと冷却塔と純粋製造装置からなる補機パッケージも導入した。
水電解装置に用いられているのが、東レの炭化水素系(HC)電解質膜だ。東レの製品は膜構造の工夫によって水素イオンを通す能力が高く高効率化が特徴のほか、低ガス透過で安全性にも優れ、再生エネルギーなどを由来とする電力から作るグリーン水素のコスト低減に貢献する。
現在、HC電解質膜の増産を進めている段階で、25年の市場導入を予定している。電力のカーボンニュートラルには太陽光発電や風力発電があるが、燃料代替の面ではグリーン水素は有効とされており、東レは「将来はHC電解質膜世界シャア50%を目指す」としている。
ワンパックP2Gシステムは、住友ゴム工業の白河工場(福島県白河市)、東京都有地(大田区京浜島)の導入が予定されている。