ごえんぼう

2024年08月14日 (水曜日)

 縫い針には糸を通す穴がちゃんと開いている。今の時代のものではない、今から2千年ほど前、弥生時代に栄えていたとされる唐古・鍵遺跡(奈良県田原本町)で発掘されたものだ▼遺跡の近くにある唐古・鍵考古学ミュージアムには、さまざまな出土品から当時の生活を伺い知ることができる。繊維は残念ながら後世に残る部分が少ないが、たまたま火に焼けて炭化したものが残る▼既に機織りも盛んだった。中国の「縑」(けん)という高密度の絹織物は、まだ国内から出土例がないそうだが、それに似せた麻の織物は作られている。『魏書』には倭王が魏に「絳青縑」(こうせいけん)を献上したとする記述がみられ、将来的に発見される可能性もある▼その縫い針についてミュージアムを案内してもらったガイドさんに聞くと「どうやってそんなに細い針に穴を開けたのか分かっていない」そう。われわれの先祖は、当時から手先が器用だったようだ。