ごえんぼう
2024年08月22日 (木曜日)
「みそひともじ」をご存知の方は短歌通だろう。5・7・5・7・7の三十一文字から成る短歌のこと▼歌人の登竜門といわれる「角川短歌賞」の応募数は年々増え、昨年は過去20年で最多の870編(50首で1編)に上った。ブームの火付け役はSNS。発表の場が少ない歌人や趣味で楽しむ人が投稿し始め、若者にも広がったという▼「#tanka」で検索すると、続々と出てくる。日常の思いや体験などを話し言葉で詠んだものが大半。ふと目にした、水町春さんの《夏なのに/僕らはここで/果てしない/インターネットの/海を見ている》の句がジワリとしみる。投稿作品の下の句がアレンジされることも。そのバリエーションの多さに、人の営みと感性の多様さが感じられてとても面白い▼季語が不要で感情も表現できる短歌なら筆者にも作れるだろうか。31文字に凝縮する言葉選びは、記者の修養にもなる気がするが……。