STX/連携し国内市場底上げへ/糸からモノ作りの面白さ発信

2024年08月28日 (水曜日)

 STXの原材料部は今日28日まで、大阪市中央区の大阪支店で商社、紡績と連携した糸・素材展「ITO MARCHE」(イトマルシェ)を開いている。国内市場で糸売りが縮小する中、6社が連携し、「国内市場を底上げしたい」との思いから初めての開催に至った。各社のこだわった糸、素材に実際に手で触れることによって「モノ作りの面白さ」を発信する。

 出展者はSTXのほか、蝶理、クラボウ、近藤紡績所、綾部紡績、レンチングファイバーズの6社。国内での糸売りは新型コロナウイルス禍から一昨年の原綿高の影響を受けるなどによって縮小傾向にある。STXでは製品まで一気通貫での対応が可能で、原料、糸の面白さを改めて発信することによって新たなニーズを捉えるのが狙い。3日間でニッターや織布、タオルなど約70社の来場を想定する。

 STXは昨年から本格展開する、蝶理との協業ブランド機能性短繊維「スパンラボ」を発信。経糸にオーガニックコットン糸、緯糸にスパンラボ糸を使ったもので、吸水速乾機能に優れた「ドライマスター」や膨らみ感のある「バルキー」を展開する。東播染工(兵庫県西脇市)でシワ加工を施し粗野でありながらも上質感のある生地は「商談で評判が良い」と言う。

 こだわった原料使いの糸も豊富に用意。上質なオーガニックコットン使いの「コンフィル」は、その素材感から6月に開いた蝶理との総合展示会で初披露した時から好評で、来春夏向け製品への採用が決まりつつある。

 米国産超長綿ピマ使いでは、インドの希少超長綿スビンと組み合わせ極上の質感を引き出した。

 ピマ80%と人工構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」20%使いの混紡糸も開発。40、60番手の糸を備蓄し、1㌔約8千円程度で販売に乗り出す。レディース向けにカシミヤ・綿使いの薄手ニット製品の需要が増える中、その代替として提案できる。

 クラボウはリング紡績によるウール100%糸を使った生地を披露。梳毛紡績糸とは違った風合いで、来場者からの関心を集めた。近藤紡績所は、高密度のシャツコールの生地を紹介。1日十数㍍しか生産できず、極細の畝からなる上質な生地表面が特徴だ。

 綾部紡績は、リング紡績で2番手の超太番手が生産可能な強みを生かした独自の素材群を展示。レンチングファイバーズはトレーサブルレーヨン「レンチングエコヴェロ」などを通じ、循環型経済への転換に向けた取り組みも紹介した。