中国生産の 魅力再発見 第2回ザ・メーカーズ・ アパレルショーレビュー(2)
2024年09月17日 (火曜日)
専門性打ち出し差別化
カジュアル専門のOEM/ODM企業の仏山市鴻万林服飾は、デニムとニットの生産を得意とする。今展では、環境に配慮したデニムの加工法「クールトランス」の紹介に力を入れた。
クールトランスは、洗い加工されたデニム柄を直接、白生地に転写し、その後は裁断と縫製でデニム製品を作り上げることを可能にした。高い染色堅ろう度を維持しながら、環境負荷を低減するのも特徴。大量の汚水を排出せず、水の使用量は90%、化学薬品の使用量は40%削減すると言う。
日本向けビジネスは全体の約20%だが、加工技術の提案で新規顧客開拓を図った。
煙台綺麗集団は10軒の自社工場を擁し、カンボジアやミャンマーにも生産背景を築いている。元来はデニム製品を主力としていたが、15年ほど前から百貨店や専門店向けのアイテムを手掛けるようになり、小ロット生産も進めてきた。
出展を担当した「第六事業部」は、100%日本向けのビジネスを行う。ボトムス60%・トップス40%、織物60%・丸編み40%という商品構成で、百貨店から量販店、通販に向け幅広いアイテムを生産する。
今展では〝原点〟であるデニムに焦点を当て、さまざまな加工が可能な体制を訴求した。
威海星禾国際商貿は、100%日本向けにニット製品を供給する。2023年設立と歴史の浅い会社だが、代表者はニット生産の豊富な経験を持つため、そこで培った提案力を示そうと出展した。
糸の調達から担い、糸の供給源として知られる中国南部から豊富な種類の糸を仕入れることができる。環境配慮や機能性のニーズに適した糸もそろえる。
婦人服を中心に量販店向けの製品を生産するが、今後は高級ブランドにまで範囲を広げる考えだ。
本社が台湾の達歩施(KNITDIGO)は、デニム調編み物「ニットデニム」とそれを使ったジーンズなどを打ち出した。同社は編み地の製造から縫製・加工まで一貫して手掛ける。生産を支えるのが中国・広東省とミャンマーの自社工場だ。
広東省の工場はニットデニムの生産について、紡績から糸の染色、織布・編み立て、縫製まで一貫体制で行う。ミャンマーの縫製工場は23年から稼働しており、今後は製品洗いの機能も持たせる計画だ。