中国生産の 魅力再発見 第2回ザ・メーカーズ・ アパレルショーレビュー(4)

2024年09月19日 (木曜日)

中国と東南アジアで生産分担

 東南アジアに生産工場を確保する中国企業の出展も目立った。小ロットや短納期は中国で、大ロットは東南アジアでといった具合に使い分けてうまく機能させている。

 聯橋集団は中国とミャンマーに自社の縫製工場を構える。ニットや布帛全般に対応し、全て日本向けだ。中国生産が6割、ミャンマー生産が4割の構成。短納期は中国で、それ以外はミャンマーの生産体制を敷く。

 政情不安からミャンマーでの生産を避けるアパレル企業が一定数あるものの、担当者は「それほど影響は受けていない」と話す。保温や防風といった機能性を備えたカジュアルパンツやユニフォームの受注が好調と言う。

 東京に日本法人を持つ、広州のトップスピードファッションは主力の婦人服に加え、子供服の生産数も伸ばしている。ニット、布帛のいずれも対応できる。8割超が日本向けだ。

 中国とベトナムに自社工場、バングラデシュに協力工場を持つ。ただ8月のバングラデシュの政変の影響を受け、今は現地での生産を一時停止。バングラデシュで縫製予定だったアイテムは急きょ、中国で生産した。

 現在、大ロットはベトナムで、中国では小ロットを中心に生産している。最近は大口の子供服の受注が増えていると言う。

 一方、威海領晟進出口は生産拠点を東南アジアに広げる気はない。中国の自社工場と複数の協力工場でシャツやパンツ、アウター、ダウンコートといった布帛のカジュアルアイテムを生産。日本との取引がほぼ100%だ。

 中国の人件費の上昇を受け東南アジアにも工場を整備する動きが活発だが、担当者は「そのつもりはない」と首を横に振る。「文化の異なる国で工場を運営するのは難しい」と指摘し、「中国の方が生地や副資材の調達もしやすい」と理由を語る。

 バングラデシュの政変では現地の縫製工場が混乱し、稼働が一時ストップするなどした。こうした影響で「バングラデシュで生産できなくなったアイテムを、短納期で仕上げられる中国で生産するアパレル企業が一時的に増え、受注量が伸びた」と言う。

 上海朗坤紡織はセーター専門のメーカーだ。中国で羊の飼育から紡績、染色加工、編み立て、縫製まで一貫して行う。取引先は欧米が中心。今回展では無染色カシミヤやトレーサビリティーを担保したカシミヤなど、環境に配慮した素材を使ったセーターをPRした。