中国生産の 魅力再発見 第2回ザ・メーカーズ・ アパレルショーレビュー(5)

2024年09月20日 (金曜日)

日本市場参入へ猛アピール

 日本市場への新規参入を目指す中国企業も見られた。新たな顧客を獲得しようと、自社の製品・技術の強みを猛アピールした。

 上海絨煜堂服飾は紳士や婦人、子供向けのカシミヤを使ったセーターなどを生産する。日本市場を新たに開拓するため出展した。中国に生産拠点を持つ。今はスペインやフランスといった欧州諸国や米国のアパレル企業向けの高価格帯製品を生産している。日本との取引はほぼないと言う。

 ウールカシミヤやシルクカシミヤ、コットンカシミヤといった混紡カシミヤと、カシミヤ100%の製品が主力だ。担当者は「日本語ができず商談では苦労もあったが、日本市場開拓の第一歩になった」と笑顔で語った。

 上海肯大紡織品も、日本市場参入を目的に出展した。スーツを中心に婦人服を専門に生産。ビジネスからカジュアル寄りのデザインまで幅広く対応し、機能性素材を使ったアイテムに強い。

 現在は欧米のアパレル企業との取引が中心で、中価格帯のアイテムを手掛ける。日本開拓の狙いについて、「信用できる企業が多いイメージがあり、安定的に取引できる新規顧客を見つけたい」と担当者。今回展ではポリエステル使いの伸縮性に優れた色鮮やかなスーツや、ファッション寄りの丈の短いジャケットなどを打ち出した。

 ジーンズ縫製の淄博裕利紡織は、日本とのさらなる取引拡大を狙う。中国に自社工場を持ち、年間生産能力は約30万着。日本との取引が売上高ベースで30%を占め、年々上がっていると言う。中価格帯よりも少し高いジーンズを中心に生産する。

 今回展ではストレッチや綿100%のデニムを使ったジーンズに加え、カシミヤやシルク、ヘンプ繊維を使った機能性ジーンズもアピール。カシミヤ使いは保温性、シルク使いは吸水速乾性、ヘンプ使いは清涼感や抗菌性に優れる点を訴求した。

 嘉興羽凌針織は靴下を専門に生産する。中国に自社2工場を保有する。ベトナムに生産拠点を設けることも検討していると言う。年間売上高は900万㌦。日本との取引が95%を占め、残り5%が中国国内だ。今回展では、ジャカード編みの靴下をアピールした。

 新型コロナウイルス禍で落ち込んだ受注はまだ回復途上で、「欧米市場の開拓も進める」と担当者は話していた。

(おわり)