ZERO―TEX/快適性と持続可能性訴求/「ゼロテックス」本格始動

2024年09月26日 (木曜日)

 昨年8月にカイタックグループの傘下に入った機能素材製造卸のZERO―TEX(ゼロテックス、東京都目黒区)が本格始動する。全天候型の耐久撥水(はっすい)素材を主力に拡販を進めるほか、服から服へ繊維製品を再生する「ムダゼロプロジェクト」で再生された糸と合わせた付加価値の向上も図る。

 「ゼロテックス」は、2021年4月にアパレル生地開発のやまぎん(同渋谷区)が立ち上げた素材ブランド。米国の医療用ガウンや大手カジュアルブランドで採用が決まるなど認知度を広げてきた。23年5月の分社化を経て8月にカイタックグループの傘下に入った。

 「人に優しく、環境にも優しい」をコンセプトに、ストレスゼロの快適性と環境負荷ゼロの持続可能性を目指す。糸や生地、製品、そして製品回収まで多岐にわたるアイテムとサービスの展開を計画する。現在は、ポリエステルと綿の混紡糸で織り上げた織物を中心に染色済みの生地13種を日本と中国で備蓄もする。

 地球温暖化による日本の亜熱帯化で、ゲリラ豪雨や台風発生の頻度が高まっていることを受けて、現在の主力に位置付けるのは、全天候型耐久撥水で蒸れにくいポリエステル綿混生地。合繊特有の光沢感を抑えたマットな質感で柔らかく、静電気が起きにくい。透湿性や防汚性、紫外線防止機能も備える。薄地の平織や厚地の綾織のほか、格子状に微細な通気口があり、撥水と通気の相反する機能を併せ持つ「ゼロテックスエア」も展開する。

 フルダルよりも高い次元の防透性を発揮する俗称「ギガダル糸」を使用した超防透素材も打ち出す。撥水機能も付与し、白衣ユニフォームやゴルフウエア、日常着など、さまざまな用途で活躍する。生産難易度が高いため希少な短繊維ポリエステル綿混織物を使った。

 素材開発のキーワードに位置付けるのが持続可能性だ。「エコテックスメードイングリーン」の認定を受ける東レマレーシア工場で生産することに加え、カイタックグループが推し進めている「ムダゼロプロジェクト」で再生した糸と合わせた付加価値の向上も図る。今後は、ニットやトリコットなどの編み地にも展開商品を拡大する予定。