東洋紡せんい 熱可塑複合材第2弾
2024年10月23日 (水曜日)
東洋紡せんいはこのほど、熱可塑性炭素繊維複合糸「CfC yarn」の熱可塑性繊維にポリカーボネート(PC)繊維を使用した新タイプを開発した。29日から幕張メッセ(千葉市)で開催される「第4回サステナブルマテリアル展」で披露する。
CfC yarnは炭素繊維と熱可塑性繊維の3層構造糸。第1弾は熱可塑性繊維にナイロン6繊維を使用したが、今回新たにPC樹脂を繊維化したものを採用した。糸種は6K(1束6千本の炭素繊維トウで構成)、12Kの2タイプ。ポリカーボネート繊維は耐衝撃性・耐候性・低吸収性・寸法安定性・透明性に優れることから、自動車や航空機、建材など向けに提案する。
CfC yarnは衣料用の長短複合紡績糸「マナード」など、同社が保有する複合構造の紡績技術を応用し、第1弾としてナイロン6繊維使いを開発した。熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)は樹脂含侵性の低さによる強度不足が弱点だったが、熱可塑性繊維を複合することなどで課題を解消。糸構造による柔らかさから、多彩な形状に成形しやすいなどの特徴もある。
PC繊維は粘度が高く含侵性を高めるのは難しいが、独自の糸構造により高い含侵性を実現した。同社によると、PC繊維使いはナイロン6繊維使いに比べて含侵性が高まるため、曲げ強度は約3割向上する。また、保有する紡績設備を改良するだけで生産できるため、大きな投資も必要がないと言う。
ナイロン6繊維使いの発表後、自動車中心に各用途から問い合わせがあり、需要家段階で試作が進んでおり、2025年度からの販売を目指す。
新開発のポリカーボネート繊維使いを初披露する第4回サステナブルマテリアル展では、ガラス繊維とポリプロピレン繊維の複合糸による「GfC yarn」も紹介し、複合材料の汎用ゾーンでのニーズも探る。