この人に聞く @TITAS(前) 偉翔刺繍 張家聖 総経理
2024年10月23日 (水曜日)
差別化したレース生地訴求
15~17日の3日間、台湾・台北で開かれた素材・機械見本市「第28回台北紡織展」(TITAS)では、機能性とサステイナビリティーを追求した最新素材が披露された。本連載では、同展関係者に出展の手応えや事業の現状を聞く。第1回は、ファッション向けのレース生地メーカー、偉翔刺繍(ユニテックス)の張家聖総経理。
(台北=岩下祐一)
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――会社の概要を。
台湾南部の高雄で、エンプロイダリーレースを生産しています。高雄の産地は20年前までメーカー30社が集まり、欧州の大手ブランドの生産を手掛けていました。その後、こうしたブランドが中国に生産をシフトしたことなどが響き、メーカー数は現在3分の1に減っています。
当社の年産能力は5万㍍です。顧客は、エレガントなミセスブランドが多いです。国・地域別の売上比率は以前、欧州が8割でしたが、現在は中国、韓国、台湾、日本などのアジアが大部分を占めています。
――強みは。
開発力と小ロット対応などのサービス力です。8年前に開発力の高さが認められ、東アジアのエンプロイダリーレースのメーカーとして初めて、フランス・パリの国際素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」(PV)に出展しました。中国生産では難しい小ロットに対応している点も、顧客から評価されています。
――TITASに毎年出展しています。今回展の目玉は。
(台湾の紡績会社の)東和紡織が、豪レンチングのセルロース繊維「テンセル」を使って開発した生分解性を持つ糸を用いたエンプロイダリーレースです。エンプロイダリーレースのテンセル使いは、生産難度が高いため、珍しいです。肌触りの良さとサステであることが売りです。
――今後の計画は。
ファッションのトレンドが、スポーツテイストになる中、レースは正直芳しくありません。欧州や韓国のブランドへの直販をさらに拡大し、挽回していきたいです。日本向けは現地の商習慣に合わせて、商社経由の拡大を図ります。そのために、海外の展示会で積極的にアピールしていきます。日本の「JFWジャパン・クリエーション」にも出展します。