東洋紡せんい・学販向け 新開発こそ“生命線”
2024年10月28日 (月曜日)
東洋紡せんいの学販向けの上半期(4~9月)は、学生服メーカーの在庫調整を受け苦戦するものの、ニットの生地・製品販売を伸ばしている。「新しいものを生み出すことこそ生命線」(川端圭二営業本部スクール事業部長)として、ニット化やポリエステル高混率化の流れを捉えながら反転攻勢に備える。
上半期は、学生服メーカーが昨年に前倒し生産を強めていた反動による在庫調整の影響を受け、前年同期に比べ減収減益で「予算に対しても届かなかった」。想定以上の物流費の上昇や、学生服メーカーが自社工場の稼働率を上げるため、製品から生地供給を優先する傾向が見られたことも利益面で大きく影響を受けた。
ただ、ニットの生地・製品販売は「若干増えた」。紫外線遮断機能と防透け機能に特化UPF50F+の編み地「レイブロック」や、ドライシートと吸収シートの2層構造で優れた吸汗発散性を発揮する編み地「アルティマ」、吸水速乾性・ストレッチ性に優れるニットシャツ「Zシャツ」の販売が堅調だった。
下半期も「コストアップが止まらない」ことを懸念。通期(2025年3月期)で減収減益になる可能性を示唆する。来期も在庫調整が続く可能性があり、「対策を練って備えていく」。
学生服ではニット化に加え、染色キャパシティーの確保やコスト面の問題からポリエステル・綿混から「ポリエステル100%化も進んでいる」。その流れを捉えながら26年の入学商戦に向けて新素材を多数打ち出す。
中東向け民族衣装用生地から着想し、ノーアイロンで速乾性に優れた織物「@(アット)シャツ」を開発。昨年、展示会で参考出品として披露した「ToV(トーブ)シャツ」で織り密度や樹脂など細かく調整し「かなり着心地が良い」生地に仕上げた。シャツではトリコット地の需要が増えているが、ドレープ性によって見栄えがあまり良くないという声もあった。@シャツは正装感があり、価格帯から高校の制服モデルチェンジに合わせて販路開拓を進める。
高通気で防透け性が高い「サマークール涼夏」でより通気性を高めた「サマークール風夏」や、ダブルフェースの丸編み地を使った新発想のセーター「NEOセーター」で生地バリエーションを変えた進化版なども投入。ジャケットやシャツ、セーター、カーディガンなどさまざまなアイテムに対応できる製品OEMの機能も含め、トータル的な提案力の強化で巻き返しを図る。