繊維ニュース

シキボウ 繊維部門は通期黒字化へ

2024年11月13日 (水曜日)

 シキボウの繊維部門は、通期(2025年3月期)で売上高200億円(前期比0・5%増)、営業利益1億5千万円(前期は2億7700万円の赤字)で黒字化を計画する。中東民族衣装向け生地輸出が好調なほか、在庫調整が一服しつつあるユニフォームで「想定以上の改善が進んでいる」(尻家正博社長)として、利益面では上方修正した。

  期初計画では売上高215億円、営業利益1億円としていた。営業利益を1億5千万円に上方修正した理由として、上半期(4~9月)に「考えていた以上に中東向けが好調だった」(尾﨑友寿上席執行役員)ことがある。織布・染色加工の子会社シキボウ江南(愛知県江南市)では整経機の導入やスチーマー、ベーキング機の更新で、生産キャパシティーを前年に比べ1・5倍に増強。今年度内では「最低でも2倍」まで生産できる体制を構築する。

 ユニフォーム事業は企業別注が業界全体で増えており、「ここに注力しながら取りこぼしがないようにオーダーを獲得していきたい」。ただ、上半期にユニフォームに加え、ニット製品で不採算の取引を見直した影響から売上高は下方修正した。

 同社は今期、3カ年の中期経営計画の最終年度となる。次期中計では事業環境の変化に捉われず「それぞれの分野でわれわれの強みをどう生かしていくかがポイント」(尻家社長)と指摘。繊維部門では外から外のビジネスのさらなる拡大に取り組むことが「目指すべき姿」(尾﨑上席執行役員)としている。

繊維は減収も利益改善

 シキボウの24年4~9月期連結決算は、売上高189億円(前年同期比2・3%減)、営業利益5億4800万円(2・3%減)、経常利益4億3500万円(21・0%減)、純利益3億800万円(23・0%減)だった。産業資材部門のドライヤーカンバスで主要顧客の国内製紙会社の稼働率低下などを受け、減収減益となった(短信既報)。

 繊維は売上高94億9900万円(5・3%減)、営業損失5300万円(前年同期は2億7100万円の営業損失)。中東向け民族衣装向け生地輸出や、インバウンド需要に沸くホテル向けに販路を広げる生活資材事業のリネン資材分野が伸びた。在庫調整を受けたユニフォームや不採算の取引を見直したニット製品事業は減収だったものの、利益は改善。原糸販売もベトナムなど海外向けが伸びたが、産地向けは苦戦した。

 通期は売上高390億円(前期比0・8%増)、営業利益13億円(9・0%減)、経常利益9億円(31・9%減)、純利益6億5千万円(18・8%減)を計画。