新時代に向かう 商社繊維事業 4~9月期決算から(1)

2024年11月25日 (月曜日)

高付加価値素材が好調

 総合・専門商社の2024年4~9月期繊維事業決算は、主な9社のうち増収は6社だったが、営業利益を公表した7社のうち増益は3社にとどまった。メーカー系商社は5社中4社が増収で、営業増益は3社となった。その中でも営業段階で利益が5倍近くまで増加した企業がある一方、赤字幅が拡大した事例が見られるなど、業績のばらつきも目に付く。(表参照、クラレトレーディングは24年1~6月期)。

 最大手の伊藤忠商事は、海外スポーツ分野を中心にアパレル関連事業の販売状況が堅調に推移した。

 帝人フロンティアは、衣料繊維分野、産業資材分野ともに販売が好調に推移し、増収大幅増益を達成した。

 MNインターファッションは海外市場の開拓に取り組んでおり、アパレルOEMは欧州、豪州、中国、原料・生地は欧米で需要を掘り起こす。

 豊田通商は23年に開始した、繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「パッチワークス」の成長を図る。

 蝶理は、繊維原料、テキスタイル、婦人衣料品関連が好調で、全体的に業績は堅調に推移した。

 GSIクレオスは、ファイバーのインナー用機能糸・生地の取引拡大などが業績をけん引し、増収営業増益を果たした。

 ヤギは、アパレル事業で主力のOEM事業が前年同期の「新型コロナウイルス特需」の反動が大きかったこともあり減収。その一方、マテリアル事業でサステイナブル素材などの差別化糸の海外輸出が堅調に伸び、利益面で貢献した。

 田村駒は、衣料部門の減収をリビング部門がカバーし、繊維全体の売上高は微減にとどまった。

 三共生興は、ファッション関連事業で婦人服ブランド「レオナール」の国内での店頭販売が好調に推移したが、出店にかかわる費用がかさみ利益を圧迫。繊維全体で増収減益だった。

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 次回から、主要各社の24年4~9月期決算の詳細を伝える。