東レ 収益力向上に磨き
2024年11月26日 (火曜日)
東レは、収益力の向上に磨きをかける。現中期経営課題の中間点だった2024年4~9月期は「特定事業・会社の収益改善プロジェクト」(通称=ダーウィンプロジェクト)や戦略的プライシングで成果を収め、事業利益が大きく拡大した。中経後半も両施策を着実に進めるほか、繊維でも収益力向上を図る。
大矢光雄社長は「中経最終年度の事業利益目標1800億円を通過点に、持続的成長を目指す」と強調した。
大矢社長、沓澤徹専務執行役員繊維事業本部長らが25日に東京都内で会見し、中経の進展状況について説明した。現中経の収益は当初、これまでの設備投資の効果発現による数量増での利益成長を見込んでいたが、実際には数量増のけん引力は弱く、大矢社長は「構造改革と価値創出力を強力に進めた結果が大幅増益につながった」とした。
ダーウィンプロジェクトによる構造改革では、当初24年度中の黒字化を見込んでいたポリエステル短繊維が24年4~9月期に黒字転換するなど、前倒しで達成した。ポリプロピレンスパンボンド不織布(PPSB)は、供給過剰の激化に追い付いていない部分があり、生産規模適正化などで25年度上半期に黒字化させる。
戦略的プライシングでは、短期的な取り組みとする価格是正・原燃料などの価格転嫁が奏功し、成果を上げた。下半期以降は、繊維事業などでの不採算用途の縮小と販売改善、炭素繊維複合材料・産業材料事業などでの新製品・新価値の創出といった中長期的取り組みも加速する。
繊維事業では、ポリエステル短繊維とPPSB以外でも国内紡績会社の集約、国内ユニフォーム会社や和装事業の再編といった構造改革に取り組む。また、グローバルサプライチェーンをASEAN地域や南アジアに深化・延伸するなど、収益力向上の施策を進める。
23年度にROIC(投下資本利益率)が2%程度だった炭素繊維複合材料事業の収益性向上にも言及し、航空・宇宙や圧力容器などの需要を取り込む。それぞれで掲げる施策を推進・加速することで、現中経の事業利益目標の達成と持続的な成長を目指す。