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帝人フロンティア 接触冷感×汗処理で快適向上

2024年11月29日 (金曜日)

 帝人フロンティアは、26春夏のアウトドア・スポーツ用途に向け、四つ山扁平(へんぺい)断面形状糸「ウェーブロン」の技術を進化させ、接触冷感と汗のべたつき防止機能を両立させた特殊構造体の素材「クールシェル カラット」を打ち出す。

ウェーブロンの撥水(はっすい)性タイプを新たに開発。既存素材とうまく組み合わせることによって、相反する機能の両立を実現した。2025年度は10万㍍、28年度には100万㍍の販売を目指す。

 世界的に夏の期間が長くなる中、アパレルメーカーから運動時の接触冷感や汗処理の機能を持つ素材が求められる傾向が強まっていた。ただ、接触冷感は肌との接触面を大きくするといった必要性がある一方、汗のべたつき防止は凹凸構造にして肌の接触面積を少なくする必要があり、両立が難しかった。

 そこで幅広く展開している、肌側に撥水糸を配置した汗処理機能を持つ特殊構造体「トリプルドライカラット」と、フルダルの非捲縮(けんしゅく)原糸で接触冷感機能のあるウェーブロンに着目。肌側に新開発の撥水タイプと従来の吸水タイプを最適に配置するとともに、外側に吸水した汗を拡散する2層の編み地構造設計技術を駆使することで開発に成功した。

 Q―max(最大熱吸収速度)0・2㍗/平方㌢以上(⊿T=20℃)の接触冷感機能があり、非捲縮(けんしゅく)原糸が繊維間の空隙を最大化し、高通気を実現、衣服内の蒸れを軽減する。ウェーブロンの四つ山の異形断面形状を生かし、毛細管現象により素早く汗を外側層に拡散し速乾性を発現。生地の抱水性も軽減され、洗濯時の乾燥性を高めた。PFAS(有機フッ素化合物)フリーに加え、リサイクルポリエステルを100%使い環境面にも配慮した。

 26春夏向けから販売を開始し、今後はファッションやユニフォームなどへも広げる。