東レ 高機能品でスポーツ活性化
2024年12月12日 (木曜日)
東レは、独自技術で開発した高機能素材をスポーツ市場に積極提案する。気候要因などで市場は盛り上がりを欠き、価格抑制要求も強まる中、他にはない付加価値品の訴求で現状打破を図る。新商品では、複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使した易リサイクルのナイロンストレッチ生地などを投入する。
同社スポーツ・衣料資材事業部の2024年度(25年3月期)は、上半期は順調に推移したが、下半期は長引く残暑などの気候要因で失速気味。「安価な中国製の流入によってナイロンの定番品は価格抑制要求が強くなっている」(中園真介部長)とし、国内での高付加価値品開発で市場活性化につなげ、定番品の海外シフトで要求に応える。
開発素材では、ストレッチ性に優れる「プライムフレックス」ナイロンタイプの新バージョンを投入。従来はナイロン6とナイロン610のバイメタルだったが、ナノデザインで粘度の違うナイロン6を組み合わせ、伸縮性などを維持しながらモノマテリアル化(易リサイクル)を実現した。
ナノデザインによる新素材では、吸湿ポリエステルの開発を進めている。吸湿性をコットンに近い数値にまで高めることに成功し、これによって制電性も発揮する。ポリエステル特有の速乾性も維持し、「幅広い用途への提案を検討する」(中園部長)としている。
そのほかの高付加価値・差別化素材ではC0撥水(はっすい)の要望に応じる「キューダスXT」、軽量感の「カルイシ」などが評価を得る。キューダスXTは、高い撥水性能のほか、耐摩耗性や耐洗濯性に優れている。カルイシは、同じかさの生地比べると重量が約半分という軽さが特徴だ。
スポーツ・衣料資材事業部は、13日まで「東レ スポーツ素材展示会」を東京本社で開催中。「持続」「気候」「快適」「撥水」の四つのカテゴリーを設け、プライムフレックスやキューダスXT、カルイシのほか、100%植物由来ナイロン繊維、軽量ナイロン「トラセア」、高通気の「ドットエア」などを紹介している。