繊維ニュース

年頭所感2025/日本羊毛産業協会会長/スミノエインテリアプロダクツ/ヤマトミシン/YKK/帝人フロンティア/豊田通商

2025年01月08日 (水曜日)

〈持続可能な発展へ/日本羊毛産業協会会長 富田 一弥 氏〉

 現在の世界情勢を見ると、環境対策や社会的責任に対する関心が高まっており、繊維業界もその影響を受けている。これに伴い、持続可能な取り組みが求められている。日本羊毛産業協会では、サステナブル委員会を設置し、羊毛の魅力や価値、未来についての情報発信に取り組んできた。人材難の問題に対しては、外国人労働者の技能実習生から育成就労、特定技能への切替の支援や教育支援を行い、繊維業界の魅力や将来性をアピールしている。これらの取り組みを通じて、業界全体の持続可能な発展を目指し、日本および世界の社会に貢献できるよう努める。

〈持続的賃上げを/日本輸出縫製品工業組合理事長 越智 仁司 氏〉

 日本経済は円安や物価高が続く中、日経平均株価は一時4万円台を記録しマイナス金利の解除など金融政策にも大きな転換点があった。この局面で重要なのはわれわれ中小企業の生産性の向上と持続的な賃上げによる個人消費の回復だ。

 政府が繊維産業の特定技能での外国人材の受け入れを正式に認めた。これは繊維業界の大きな一歩であるが繊維業にのみ上乗せ4要件が追加されるなどまだまだ課題や不透明な部分もある。今後も引き続き関連機関と連携し、さまざまな要請を国にしていく。

〈モノ作り一層重視/スミノエインテリアプロダクツ社長 村瀬 典久 氏〉

 2025年は決して楽観視できないが、少なくとも日本経済は確実にデフレ下から脱却し、昨年以上に活性化していくのではと考えている。昨年12月2日付で、商号変更した。特に「プロダクツ(Products)」という言葉に大きな意味を込めている。開発の基本理念である「K(健康)K(環境)R(リサイクル)+A(アメニティー=快適さ)」を軸に、メーカーとしてのモノ作りを重視する意識をより一層高め、顧客や社会のニーズに対応した製品を開発、販売していく。

〈八つの重点分野/セーレン 会長 川田 達男 氏〉

 成長ドライバーとなる八つの分野を設定し、重点的に取り組む。具体的には「次世代車種シート材」「一貫生産エアバッグ」「炭素繊維」「人工衛星」「半導体」「エレクトロニクス素材」「環境・メディカル」「非繊維ビスコテックス」の八つの分野であり、いずれもセーレンが長年培ってきた独自のコア技術から派生したものだ。これらの独自のシーズを確実に事業化していくため、今後も研究開発に注力し、積極的に設備投資を行う。また、「人材力」「開発力」「環境対応力」など、数字に表れない企業力を高めていく。

〈厳しい現状「好機」に/ヤマトミシン製造社長 近藤 章吾 氏〉

 昨年は、発注ロットの極小化や生産拠点の分散など、アパレル製造業界に大きな変化の兆しを感じた1年だった。業界を取り巻く環境も大変厳しかった。今年も大きく変化していくと思われるが、この現状を敢えて「好機」と捉え、モノ作りの改善に果敢に挑まれるお客さまに対し、当社の製品技術で貢献できるよう、低コストで安定した高品質なモノ作りの一助となるべく研さんを重ねたい。

〈グローバルに挑戦/YKK 社長 大谷 裕明 氏〉

 各事業地域において未獲得市場が存在している。わくわくするような商品の開発と提案、デジタルを含む新たな技術の活用と不断のコストダウン追求、顧客要望の納期に迅速に対応するためのグローバルとローカルの供給網の最適化の実現など、やるべきことはたくさんある。それを実現する社員の皆さんが、自信と喜びを持ってグローバルに挑戦し続けられるよう、YKKブランドの中長期的な価値および社員エンゲージメントの向上に向け、施策の立案と実行、制度の見直しにも取り組んでいく。

〈確固たる地位築く/帝人フロンティア 代表取締役社長執行役員 平田 恭成 氏〉

 強みを磨き上げ、繊維業界をけん引する確固たるポジションを築き、また、リサイクル技術の優位性を広く周知して資源循環を推進するリーダーシップを発揮したい。社員にはチャレンジなくしては成長がないことを意識してほしい。今年は、現中期計画の最終年度。足元の業績は好調に推移するが、次のステージに立つにはさらなる高みを目指す新しいチャレンジが不可欠だ。各職場で新しいチャレンジを考え、新規ビジネスや新規顧客の開拓を進めてほしい。

〈3年で1兆円の成長投資/豊田通商 社長 貸谷 伊知郎 氏〉

 社員の皆さんと実行していきたい三つの取り組みを伝える。一つ目は、各組織のミッションを徹底的に追求し、実現すること。二つ目は、豊田通商DNAを浸透させ、継承し、進化させていくこと。三つ目は、経済価値=リターンにこだわること。目標として、当期利益を2025年3月期に3500億円、27年3月期には4千億円に引き上げる。25年3月期からの3年間の累計で営業キャッシュフローを1兆3千億円以上創出し、そのうち1兆円以上を成長投資に配分する計画だ。