特集 東海産地(1)/時代の変化に合わせ生き残りへ/2025年展望

2025年01月14日 (火曜日)

 天然繊維を中心とした東海産地の2024年は厳しい状況が続いた。衣料向けを中心に需要が落ち込んだことで各産地の商況は冷え込んだ。25年も先行き不透明感が強く復調に向かう兆しは見えにくい中、時代の変化に合わせた体制の構築が急務だ。

 東海産地は尾州、知多、三州、三河、遠州といった産地で構成する。衣料から浴衣、手拭い、帯芯、インテリア、寝装、資材向けまでと幅広い品目を手掛けている。合繊使いもあるが、共通するのは綿やウール、麻といった天然繊維を軸としたモノ作りだ。

 24年は祭り需要の復活で小幅の綿織物は好調だったものの、他の品目は総じて苦戦した。綿糸やウール糸を扱う商社の話では、中国など海外から生地や製品での流入が一段と加速したことが要因という。日本の産地への糸販売は振るわなかったようだ。

 サステイナビリティーの進展も関係する。発注者側の中では廃棄はもちろん、在庫を抱えることを忌避する傾向が高まり、モノを作る絶対量が減少した。24年は東海のさまざまな産地から「リピートがない」という声が多く聞かれたのは、その表れとも言える。

 新型コロナウイルス禍を境に産地の状況は変わった。かつてのようなまとまった量での注文はなくなった。今後も受注量が大幅に増加することは考えにくいため、高付加価値化などを進めることで少ない受注量でも利益が出せる体制にしていくことが求められる。

〈尾西毛織工業組合 理事長 時田 典幸 氏/変革のためのラストチャンス〉

――2024年を振り返ると。

 新型コロナウイルス禍が明けて23年は受注を伸ばした企業は多かったですが、その反動で24年は厳しい状況でした。温暖化や各段階における在庫過多で発注量が減少し、紳士、婦人ともに苦戦しました。消費者の嗜好(しこう)の変化に伴うウール離れも影響しました。

――25年はどのような年になりそうですか。

 会社間である程度優劣がはっきりするかもしれません。新しいモノ作りに挑戦した上で、しっかり発信ができている会社は伸びる余地があるでしょう。変革を起こすためのラストチャンスかと思いますので、組合としても支援できたらと考えています。

――具体的な方策は。

 海外戦略については、日本毛織物等工業組合連合会が開く中国のバイヤー招聘(しょうへい)事業は継続していきます。その上で、輸出についての基礎を学べる講座も開きます。海外の販売先にきちんとアプローチしていくためにも基礎的な知識は重要になります。

 高齢化が進んでいる産地を維持していくためには、培ったノウハウを継承していかなければなりません。各工程での勘や経験則に頼っていたモノ作りを次世代に伝えるため書面に落とし込んでいきます。25年度には聞き取り調査を進める予定です。

〈知多織物工業協同組合 理事長 永田 高明 氏/選ばれる産地へPR強化〉

――2024年を振り返ると。

 並幅や広幅が中心の製織企業は総じて上半期が苦戦も、下半期から回復の兆しがあります。小幅織機が主力の企業は繁忙が続きました。課題は産地全体の供給力低下が明確化してきたことです。高齢化に加え、織機の老朽化や人材確保の難しさも浮き彫りになりました。

――産地全体で協力する機運が高まったと感じるが。

 各組合員が役員のように産地全体を意識する姿勢には感銘を受けます。組合事務所や加盟企業に受注面の相談があるときもスムーズな情報共有ができています。

 織機台数・機種や生産量などを個々で把握し、一貫した受注体制を持つことは強みです。販売先の依頼に前向きに取り組み、具現化します。

――今年の知多産地に期待することは。

 キーワードは指定されるという意味の“デスティネート・知多”です。円安基調やインバウンドによる旺盛な消費を含め、独自のモノ作りを続ける当産地に商機の種が増えると思います。知多産地の企業が国内外の販売先から“指定”されるよう、支援を強化します。

 「知多木綿」のブランド化も進み、その副資材や販促物使いの商材を扱う企業側は大きな熱量を持ちます。その熱量に負けないよう、産地の特徴を明確化し、認知度の向上に着手します。

〈トピックス/尾州産地/海外販売を学ぶ講座〉

 日本毛織物等工業組合連合会(毛工連)は尾州産地企業の輸出を後押しする。1月から海外販売についての基礎知識が学べる全3回の講座を尾州ファッションデザインセンター(FDC、愛知県一宮市)で開く。

 講師は瀧定大阪(現スタイレム瀧定大阪)で常務取締役国際部統括部長などを務め海外販売に精通する、Muto Planning社長の武藤和芳氏。「初めて学ぶ海外販売戦略基礎知識」をテーマに話す。

 海外取引での事前準備や口座開設の方法、海外販売に向けて必要な書類など基礎的な項目について解説。さらに、商売につながった海外顧客と良好な関係を築く具体例なども語る。

 国内の衣料品市場が縮小する中で、産地企業にとっても海外販売の重要性は一段と増している。毛工連によると、海外販売の基礎知識を教える講座は尾州では初の開催となる。

 日程は1月15日、2月12日、2月26日で時間はいずれも午後1時半~3時。2回目以降の申し込みは開催日の9日前まで受け付けている。