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帝人フロンティア 北米向けがリード

2025年01月20日 (月曜日)

 帝人フロンティアのスポーツ・アウトドア向けテキスタイル輸出が堅調だ。2024年度(25年3月期)も前年度比約10%増収の勢いで推移している。特に北米市場がリードした。

メガブランドだけでなく、中小規模や新興のブランドへの提案を強化する戦略が成功している。特殊異形断面糸使いなど高付加価値品も販売をけん引する。

 スポーツ・アウトドア向けテキスタイル輸出を担当する衣料素材本部テキスタイル第一部の河田泰明部長によると、「海外市場の市況は北米を中心に回復基調にある」。インフレ高進による消費者の購買力減退や流通在庫増加を背景としたアパレルの生産調整による生地需要減退も、ここに来て正常化しつつあると言う。

 このため同社のスポーツ・アウトドア向けテキスタイル輸出も堅調を維持しており、24年度の売上高は前年度比10%増のベースで推移する。円安の追い風に加えて、海外展示会に積極的に出展することで新規取引先の開拓を進めたことが奏功し、メガブランドだけでなく中小規模・新興ブランドへの販売が拡大。取引ブランド数の増加が売り上げ増加につながっている。ただ、原燃料価格の上昇に加え、物流費や委託加工費の上昇が大きく、利益は売上高ほどの増加となっていないことが課題となる。

 商品面では主力の高バランスポリエステル編み地「デルタ」の人気が継続していることに加え、8葉中空断面ポリエステル糸使い「オクタ」の採用が拡大した。中わた・裏地一体型トリコット生地「オクタCPCP」やオクタで非起毛加工の立毛構造を実現した「サーモフライ」などが中わた製品や裏毛製品の代替として採用されるケースが増えている。

 河田部長は「新興ブランドは既存製品と異なる素材による商品企画を志向することが多く、そこで当社の新しい発想の機能素材が評価された」と話す。そのほか、コットン調の風合いに高い吸汗速乾性、耐久性、防透性、UVカット機能を併せ持つポリエステル編み地「アスティ」も採用が拡大するなど評価が高まる。

 25年度に関しても「引き続き高付加価値の提案に力を入れる」ことが基本戦略となる。また、環境配慮への取り組みの重要性が一段と高まっていることから、再生ポリエステルなど環境配慮素材の使用拡大に加え、関連する国際認証の取得など基盤整備を一段と進める。国内の製造・加工スペースに限りがあることから、子会社や協力工場のあるタイやインドネシアなどでの生産基盤の拡充にも取り組む。