ごえんぼう
2025年01月21日 (火曜日)
日本では年間7千~8千件の発掘調査が行われる。記録保存のため建設工事前に実施される緊急発掘が99%以上を超え、調査後は大半が埋め戻される▼1980年代に佐賀県で企業誘致に向けた神崎工業団地造成計画が立ち上がり、記録保存の発掘が行われた。調査後は埋め戻される予定だったが、大規模な環濠(かんごう)と2千基を超す甕棺(かめかん)が見つかり、保存が決まる。それが吉野ケ里遺跡だ▼奈良県桜井市の遺跡も県営住宅建設前の調査で遺構群が発見され注目を集める。今の纒向(まきむく)遺跡である。吉野ケ里、纒向は、日本古代史最大の謎と言える邪馬台国の有力候補地だが、山陰や岡山なども邪馬台国論争に名乗りを上げる▼中にはインドネシアやエジプトにあったとする極端な説も存在するが、所在地の明確な答えがない以上、さまざまな可能性が残る。先入観に捉われていては、見つかるものも見つからない。考古学に限った話ではない。