帝人フロンティア 超極細繊維で新製品
2025年02月03日 (月曜日)
帝人フロンティアは、ナノファイバー「ナノフロント」の技術を生かした新製品の開発を加速している。オレフィン系やPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの極細繊維化もでき、これらの素材を用いた織物や不織布の開発を終えた。今後の事業化に向けて用途の探索に入っている。
ナノフロントは、1本の直径が700ナノ㍍の超極細繊維。ナノフロントを用いた生地は、滑りにくさや柔らかさ、肌当たりの優しさ、防透性といった特徴を持ち、スポーツやインナーなどの衣料品分野から雑貨関連、エアフィルターなどの資材関連まで幅広い用途で採用が進んでいる。
400ナノ㍍の極細繊維の生産も可能になり、「細くすることにもう一度焦点を当てて開発を進めている」。開発品は、このほど東京都内で開催された材料・装置・技術の展示会「新機能性材料展2025」で紹介し、多くの来場者に披露することで「新たなニーズの掘り起こし」を図った。
展示会では、ポリプロピレンのナノフロントを使った織物などを打ち出した。耐薬品性や耐溶剤性に優れているほか、液中では油水分離にも期待できると言う。「ナノオーダーのオレフィン系繊維を使った織物は市場にはない」とし、プレスフィルターろ材や精密エアフィルター用途などへの提案を模索する。
PPSとナノフロントの技術を組み合わせた不織布も開発した。高い耐熱性(連続使用温度190℃)のほか、耐薬品性にも優れている。細孔径や均一な孔径も特徴だ。目付が20㌘、40㌘、80㌘のタイプを試作しているが、「20㌘が本命になる」とし、各種フィルターや基材などの用途が想定される。
薄さ、軽さはポイントの一つとし、目付が2㌘という超軽量の湿式不織布、帝人の炭素繊維「テナックス」を使用した極薄(0・115㍉)の炭素繊維ペーパーなども展示した。湿式不織布は、「量産可能なものでは世界最軽量クラス」とし、厚さ0・01㍉以下、空隙率80%以上を誇る。
そのほか、海洋生分解ポリ乳酸「ビオフロント」を使ったヒートシール紙、電子機器や自動車などに応用できる放熱用コーティング剤、グループ会社であるユニセルの高性能油吸着用不織布「オルソーブ」なども紹介した。展示会では13の素材を見せたが、約半分が新素材だった。