山陽染工 海外戦略固める年に
2025年02月03日 (月曜日)
染色加工の山陽染工(広島県福山市)は、継続して力を入れてきた海外向けの生地販売と製品ブランド事業を今後も強化する。戸板一平常務は「今年は海外販売の戦略を固めていく年となる」と説明。アプローチする国などを見定めながら、引き続き海外展へ出展しつつ販路を開拓する。
ブランド事業では、昨年新たに立ち上げたブランドの販売を伸ばす。
「昨年の秋口から受注が怪しくなってきた」(戸板常務)とし、2025年3月期の売上高は「前期比横ばいで着地できれば」とする。
同社では「国内市場だけだと大幅に成長できる余地はない」とし、近年は海外販路の開拓に力を入れてきた。新型コロナウイルス禍では足踏みしたが、昨年はイタリアの服地見本市、「ミラノ・ウニカ」(MU)や、デニム関連の展示会「キングピン」など、さまざまな海外展に出展。また、「インターテキスタイル上海」にも視察に行くなど、海外販売に向けて情報収集を進めてきた。
戸板常務は「会社を変えるような大きなインパクトにはなっていないが、徐々にメゾンブランド向けの受注は取れてきている」と話す。今年は販売を進めていく国の絞り込みなど、海外販売に向けた戦略を考えていく。
展示会出展も継続。今月はMUに出展する。海外向けでは、顔料使いの生地が好評だ。生成り生地に顔料プリントを施し、チンツ加工を付与した生地は、合繊ライクな風合いが特徴となる。協力工場で生地洗いにも対応しており、洗い加工を施すと独特の落ち感が出る。カラーバリエーションをそろえ、MUで訴求する。
23年に染色事業活動を停止したグループ会社、山陽染工児島ファクトリー(岡山県倉敷市)が得意としていた、硫化中白染めの「ダスティー加工」も協力工場で復活。こちらも発信する。
ブランド事業では昨年、ジェンダーレスデザインの新ブランドを立ち上げ、卸売りをベースに展開を始めた。「立ち上がりは上々」で、現在は4、5社に卸している。今月に次シーズンの展示会を開く予定で、これに向けてサンプル作りを進めている。また、有力店をターゲットに営業活動も進める。