ごえんぼう
2025年02月19日 (水曜日)
日本人は、時間に厳しいといわれる。時刻表通りに分刻みで運行する鉄道。会社訪問は約束の5分以内前がマナーとされる▼明治以前はもっと緩やかだったようだ。江戸時代末期、長崎海軍伝習所の教官として来日したオランダ士官のウィレム・カッテンディーケの著書『日本滞在日記抄』には、注文した材木がいっこうに届かないことや、ふらっと出掛けたまま戻ってこない職人が紹介され、「日本人の悠長さといったらあきれるくらいだ」と記される▼悠長さには、当時の時間制度である日の出と日没を基準とする不定時法による緩やかな時間認識も影響していた。それが明治以降の近代工業化で、定時法に変わり時間規律が厳しくなる中で定着していった面がある(『遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成』)▼時間を守ることは必要だが、時代によって時間に対する感覚が変わることを知れば、少し寛容になれるかもしれない。