東洋紡せんい 総合繊維企業へ進化
2025年02月25日 (火曜日)
東洋紡せんいの清水栄一社長は、4月1日付で東洋紡STCから工業材料事業と機能資材事業が移管されることを受け、「衣料から資材まで扱う総合繊維企業としてシナジーを発揮し、開発型ビジネスをさらに拡大する」と話す。今回の事業移管によって2025年度(26年3月期)は新たに売上高約120億円、営業利益約5億円を上積みしたい考えだ。
工業材料事業は防水膜や農業・漁業・工業・建築資材を扱い、機能資材事業は医療用ディスポーザブル製品や不織布、フィルター材・フィルター製品などが主力。いずれも繊維素材が多く使われている。両事業が加わることで東洋紡せんいは衣料分野から産業資材分野まで総合的に扱うメーカー・商社機能を担うことになる。
清水社長は、新たに加わった両事業に対して「東洋紡せんいが国内外に持つ工場を生かした調達力や開発力を活用することでシナジーを発揮できる」と指摘。マテリアル事業部が取り組む熱可塑性炭素繊維複合糸など非衣料分野の開発素材を活用した新商品や新規ビジネスも期待できる。また、衣料分野と資材分野で人材交流も進め、人的資本の向上も目指す考えだ。これらシナジーを生かし、「衣料と産業資材ともに開発型ビジネスを拡大する」と清水社長は強調する。
東洋紡せんいは24年度に売上高330億円、営業利益10億円を計画している。一方、移管される両事業の売上高は約120億円、営業利益は約5億円の規模。このため両者を合わせた25年度は売上高約450億円、営業利益20億円を目指す。衣料と産業資材ともに売上高よりも営業利益の拡大に重点を置いた戦略で臨む。