ごえんぼう

2025年02月27日 (木曜日)

 総務省の調査によると、2024年度は1世帯(2人以上)当たりで年間約12万円が服の消費に充てられた。ちなみにバブル期が25~30万円となっており、大幅に減少している▼景気低迷やスマートフォンの普及による通信費の増加、給料が上がらないなどの要因に加え、廉価なファストファッションの台頭が根底にあるようだ▼先日、祖父母の写真を見る機会があった。風景模様の着物を着こなす祖母と開襟シャツとトラウザーズ姿の祖父を見て、うらやましく思った。ともに笑顔でおしゃれ、庶民が着る普通の着物と洋装だが、不思議と2人のバランスも取れている▼翻って現代のファッションは窮屈だ。トレンドや同調圧力に振り回され、時流に乗れないと「ダサい」と言われる。祖母は着物を修繕しながら昭和初期のモダンな和装を楽しんでいたらしい。傷んだセピア色の写真を見て、豊かな服飾文化に触れたような気がした。