繊維ニュース

ベトナムの地場ブランド/日本生地採用の高級ゾーンも/日系商社が青田買い加速

2025年03月06日 (木曜日)

 ベトナムの地場ブランドは、価格訴求型のカジュアルブランドが中心だが、日本製生地を積極採用する高級ブランドも存在する。日系生地商社は現地展示会などを通じ、青田買いを加速している。内販拡大のための日系企業間の連携模索も始まった。(岩下 祐一)

 ベトナム国内のアパレル市場規模は60億~80億㌦で、毎年10%前後の成長が続いているといわれている。首都ハノイやホーチミンの一等地にある商業施設で「ZARA」「H&M」「ユニクロ」「GAP」「HLA」など、日本、欧米、中国の海外勢が存在感を示す一方、路面店が中心の地場ブランドも多くのシェアを得ているとみられる。

 地場ブランドの多くは、ボリュームゾーンのカジュアルブランドだ。価格帯は海外ブランドよりも割安で、地元消費者のニーズに応えるアイテムをそろえているのが強み。大手カジュアルブランドの「CANIFA」(カニファ)は、ハノイを中心に国内で100店強を運営。Tシャツは10万ドン、セーターは50万ドン、コートが100万ドン前後だ。20年の歴史で培ったブランド認知度とコストパフォーマンスの高さを売りにする。

 他にも80店を展開する「IVY moda」(アイビーワイ・モーダ)や若者をターゲットにした「PT2000」など、多くの大手ブランドが存在する。一方で大部分は、運営の質がまだ成熟していないようだ。ある日系企業幹部は「複数のブランドの与信調査を行ったところ、いずれも大量の在庫を抱えていた」と明かす。

 高級ゾーンの地場ブランドもある。「KHAAR」(カー)は、22年に誕生したデザイナーズブランドで、ホーチミンの直営店とホイアンのセレクトショップで展開する。シャツやパンツが200万~300万ドン、ドレスが約1千万ドン、コートが約1500万ドンで、日本品の生地を積極的に採用する。

 「CHIC LAND」(シック・ランド)は、高級ゾーンのレディースながら、約30店を運営する規模感のある数少ないブランドだ。日系生地商社の日本品を大量に採用していることから、日系企業関係者からはベトナム版「阿瑪施」(アマス)とも呼ばれている。アマスとは、中国内販の黎明期だった2000年代の、日系商社の最有力顧客のブランドのことだ。

 2月26~28日にホーチミン市で開かれた繊維総合展「ベトナム国際アパレルファブリックス&繊維関連技術専門見本市」(VIATT2025)には、内販の拡大を目指す日系企業17社が出展した。

 現状は規模が小さく、安い価格帯の地場ブランドが大部分だが「5年、10年後に大きくなるところを今から見つける」(スタイレム瀧定大阪の宮地信介・第一事業部テキスタイル3部GMO室室長)との声もある。

 各社の内販のための現地法人設立は、もう少し先になりそうだ。こうした中、ドン決済が課題になっている。現地法人を持たない商社は㌦決済になるが、輸出業務に慣れていないブランドはドン決済を求めている。複数の企業が現地法人を持つ日系企業との連携を模索している。