魅力高める 中国OEM・ODM企業~「第3回ザ・メーカーズ・ アパレルショー」レビュー~⑤

2025年03月19日 (水曜日)

付加価値示し新規獲得狙う

 日本企業との豊富な取引実績を持ちながらも、〝対応力〟の差別化を図るため、付加価値をアピールする展示も目立った。

 南通宝卓国際貿易は、婦人服を中心に100%日本向けの生産を手掛けており、中でも高級ドレスを得意とする。小ロット・短納期のニーズに対応しているが、日本企業の品質に対する要求は依然として厳しく、縫製だけでなく生地や付属品にまでその範囲は及ぶと言う。

 こうした要求に応えるため、2017年に「服装修整部」を立ち上げ、先進的な技術、設備の導入により、耐光、摩擦、油汚れなどの品質問題の改善に乗り出した。現在は自社の製品にとどまらず、対外的な修理業務も展開する。同展では、これらの幅広いサービスの内容を発信した。

 南通◆(吉<上が土、下が口>)孝国際貿易も100%日本向けにビジネスを展開している。ショッピングモールなどで販売される中間価格帯の製品が多く、織物からニットまで幅広く手掛ける。

 品質、価格、納期のバランスのとれた提案で顧客ニーズに対応しているが、同展では生地にさまざまな加工を施したサンプルを出品し、提案力の高さを示した。〝スカジャン〟風の刺しゅうなどインパクトのある展示を行う中、鮮やかな色彩のリバーシブルアイテムが来場者の注目を集めた。

 蘇州富博進出口貿易は、100%日本向けに婦人服を供給するニット専門メーカー。製品は百貨店やショッピングモールで販売される。

 同展には2回目の出展となり、今回は品質性のアピールに力を入れた。100%ウールでモヘア混の風合いを出した製品などで、着心地を追求する生産力を発信した。和紙糸も積極的に取り入れ、素材へのこだわりを提案力に生かしている。

 本社が台湾のKNITDIGOは、デニム調編み物「ニットデニム」を打ち出す。編み地の製造から縫製・加工まで一貫して手掛ける同社は、中国・広東省とミャンマーの自社工場で生産を行う。

 同展への出展は2回目で、展示の中心が生地だった前回と異なり、今回は縫製品を前面に出した。縫製品は、23年から稼働するミャンマー工場が全般的に担う。

 こうした生産背景を活用し、日本向けには小ロットで高品質の製品を供給できる体制をアピールしていた。