魅力高める 中国OEM・ODM企業~「第3回ザ・メーカーズ・ アパレルショー」レビュー~⑥
2025年03月21日 (金曜日)
日本市場深耕への意欲表れる
今回のザ・メーカーズ・アパレルショーでは、日本向けのビジネスを再開したい、あるいは新規に始めたいという意欲を持って出展した企業も数多く見受けられた。これらの出展者を通じ、日本市場は中国のOEM/ODM企業からの人気が根強いことが伝わってきた。
浙江嘉欣絲綢股¥文字(U+4EFD)は、婦人服を中心に織物製品を扱う。中国国内に加え、ミャンマーとカンボジアにも生産背景を築いた。
現在は欧米向けが約85%を占め、中国の内販が10%、日本向けは5%ほどにとどまっている。今展には、かつては活発に行っていた日本向けのビジネスを復活させる契機にする目的で出展した。
特にアピールしていたのがミャンマーの生産体制で、ロットの要求にも柔軟に対応すると言う。
機能性素材の開発にも取り組んでおり、保温や撥水(はっすい)といった機能を持つ素材を使った製品も出品した。
桐郷市銀泰皮草は、カシミヤやエコファーを使った婦人服を打ち出した。供給先は日本向け70%、欧州向け30%という構成だが、日本市場を深掘りするため初出展した。
同社によると、温暖化の影響で、コート類よりベストの需要が増えていると説明する。「製造コストを抑えられるメリットもあるのではないか」と話す。
浙江新韋進出口はデニム製品を得意とする。主に米国向けにビジネスを展開してきたが、日本をはじめとした東アジアの市場の開拓に乗り出した。
日本企業との取引を目指す理由に「デザイン力が評価されると聞き、当社が力を発揮する場面も増えると期待できる」ことを挙げる。同展ではミャンマーで築いた生産背景もアピールした。
桐郷市鼎創羊絨は、内モンゴルのカシミヤなどを使った衣料品を、浙江省の自社工場で製造する。原料の調達から一貫して手掛ける生産体制を強みとし、染色や起毛の技術にも自信を示す。
欧州や中国国内に向けたビジネスを行っているが、若手経営者である同社の代表にとって、日本市場の開拓は悲願だったと言う。自身が日本文化に強い関心を持ち、デザイン力を評価する日本企業との取引にも魅力を感じていたためだ。
「日本のアパレル企業は色へのこだわりが強く、今は薄手の製品が好まれることが分かった。小ロット対応は必須だと痛感した」と初出展の成果を挙げた上で「デザイナーも採用しており、日本向けの製品を供給する体制はできている。全力でニーズに対応していきたい」と意欲を見せていた。
(おわり)