東レ 中経最終年度も収益性追求
2025年04月04日 (金曜日)
東レは収益拡大を追求する。現中期経営課題最終年度の2025年度(26年3月期)も繊維事業や炭素繊維、水処理膜を核に成長を図る。繊維事業は産業資材分野の利益率がアパレル分野と比べて低いとし、大矢光雄社長は「次期中経での取り組みも含めて産業資材分野の利益率を高め、繊維全体の収益拡大につなげる」考えを示した。
現中経の2年目に当たる24年度は、上半期(4~9月)の全社事業利益が過去最高を記録し、第3四半期(4~12月期)も前年同期比40・9%の増益となるなど、着実に前進している。繊維事業も第3四半期まで増収増益を確保し、年間では売上収益1兆60億円、事業利益640億円を見込む。
25年度の事業環境について大矢社長は「下半期から賃金の上昇が物価高を上回り、個人消費は堅調に推移する。企業の設備投資も拡大基調」とし、国内は底堅いとした。米国は景気の下振れリスクはあるが、当面は拡大基調が続くと予想。中国の経済は「まだら模様」とした。
そうした状況下で、高成長・高収益事業を中心に収益の拡大に取り組む。稼ぐ事業の核の一つである炭素繊維は設備が立ち上がるほか、民間航空機の回復などに期待する。水処理膜事業は中東でのビジネスをメインに事業の拡大を図っていく。
中経最終年度の事業利益目標640億円に24年度で到達する見通しの繊維事業は、今年度上半期をめどにポリプロピレンスパンボンド不織布の黒字化を図る。そのほか、インドを含めたアジアを中心にサプライチェーンを充実し、トップライン(売上収益)を上げる。
産業資材の利益率向上が課題の一つ。大矢社長は「次の中経では、アパレル分野に遜色のない水準に引き上げたい」とし、複合紡糸技術も応用する。また、コミットした数字ではなく、時期も設定していないとした上で「(自身が)繊維事業本部長時代に描いていた売上高(売上収益)1兆2千億円、営業利益(事業利益)1千億円は今も頭の中にある」とした。