JYから見る糸の傾向⑥
2025年04月07日 (月曜日)
独自路線で存在感発揮
天然繊維から合繊までのさまざまな提案がある中で、独自路線を貫いたり、独自素材を扱ったりする会社はひと際、存在感を放つ。「ジャパン・ヤーン・フェア」でもそうした会社のブースには多くの来場客が足を運んだ。
東洋紡せんいと御幸毛織は東洋紡グループとして共同出展し、長短複合糸「マナード」をメインに訴求した。独自素材である上、通常の混紡糸にはできないモノ作りが評価されて関心は高かった。
東洋紡せんいは新たにリネンやシルク、超長綿を使った長短複合糸を新提案した。ケミカル再生ナイロン「ループロンC」との組み合わせもそろえた。これらによって、尾州産地の開拓にも結び付けたい考え。単独展で初披露した「すーぱーツベタイン」も好評だった。ポリエチレン長繊維とループロンCの混繊糸で寝装用を狙う。
ラメ糸製造の泉工業(京都府城陽市)は再帰反射ラメ、紫外線変色ラメなどを訴求し来場者から関心が高かった。新商品である肌当たりが良い「セルソマ」はナイロンラメと綿糸の撚糸で、二浴での染め分けが可能。インナー、靴下などが狙い。サンプル依頼も多かった。
近藤(愛知県一宮市)は多彩な意匠糸で存在感を発揮した。好評だったのはモール糸の「ミンキー」。ナイロン100%の15番モール糸で、編み地にするとファーのような毛足になる。メリノウール57%、ナイロン37%、カシミヤ6%のタム糸「サファイア」も好評だった。16・5マイクロ㍍の防縮ウールにカシミヤを混合した起毛糸で、ナイロンの収縮性も生かした。
高田編物/AMIu(アミぅ、愛知県江南市)も意匠糸をそろえた。「JYに意匠糸を展示する企業が少ないため、年々目立つ印象を受ける」と言う。展示ではクリンプを持つデニット糸使いのリリヤーンが来場者の目を引いた。編み組織をほどいて作るデニット糸は手間と工数はかかるが、意匠性の面では差別化を図れる。これまで2色使いが多かったファー使い糸では3色使いも並べた。見た目のインパクトがあり来場者の関心を集めた。
アナログな生産で独自性を打ち出したのがアンドウ(京都市)だ。昔ながらのガラ紡で生産したカポック・綿の混紡糸を並べた。ブース内にはガラ紡機も置いた。