アダストリア 新中計で売上高4千億円
2025年04月08日 (火曜日)
アダストリアは4日、2030年2月期を最終年度とする5カ年の新中期経営計画を発表した。堅調な国内事業をはじめ、外部ブランドの監修やソリューション事業、海外企業のM&A(合併・買収)などで連結売上高を25年2月期比36%増の4千億円に伸長させる。
9月1日付で社名をアンドエスティHDに変更し、持ち株会社制へ移行する。ブランド事業などを承継する新会社アダストリアを4日付で設立した。
新会社の社長に中国事業などを担当してきた北村嘉輝氏が就任し、現アダストリアの代表取締役社長を務めている木村治氏は、アンドエスティHDのトップに就く。ファッション事業を軸にしたプラットフォーマーを目指す戦略を打ち出した。
これまで自社のマルチブランド販売や生産機能を内製化したSPA(製造小売り)を深耕してきたが、今後はファッションを中心にしたプラットフォーマーに転換する方針。アジア地域を起点に「世界進出を意識している」(アダストリア広報)とした。
グローバル事業ではグレーターチャイナ(中華圏)に加え、東南アジアを次の柱として集中投資する。さらに電子商取引(EC)のプラットフォーム化へ先行展開する。
日本国内では公式ネット通販「アンドエスティ」をモール&メディアに育成、GMV(流通総額)1千億円へ拡大させる。自社の強みを外販するプラットフォーム事業を強化し、他社ブランドの監修も行う。既にユニフォームの製作や他社との協業アイテムの製作で成果が出ている。
国内事業では基幹ブランド「グローバルワーク」などに集中投資し、リテール事業の売上高を2726億円から3400億円に増やす。
新たに子会社を設立して自社ECのアンドエスティ事業などを移管する。既に他社へオープン化した自社ECのブランド構成を増やし、サイトの取引量拡大に注力する。
海外事業では業績が低迷していた米国市場から撤退。今後はアジア地域に集中投資する。持ち株会社への移行でM&Aを軸にした経営判断を早める。
自社EC、アンドエスティの24年2月期の流通総額は約360億円。国内売上高は前年同期比6・8%増の345億円だった。約1860万人の会員を抱えている巨大サイトでもあり、連動したプラットフォーマーとしての戦略を早期に打ち出す。
さらに「グループにない特色を持つ企業のM&Aを加速させ、マルチカンパニーを実現させる」とした。
先日は、伊藤忠商事と共同で英アウトドアブランド「カリマー」を日本で展開するカリマーインターナショナル(東京都千代田区)を3月末に買収している。22年以降、雑貨ブランドや外食企業も買収しており、マルチカンパニー化へ攻勢を強めていた。