大手学生服メーカー/今春の入学商戦も/納品順調/引き続き価格改定進める
2025年04月08日 (火曜日)
性的少数者(LGBTQ)へ配慮する流れから、制服をブレザーへとモデルチェンジ(MC)する動きがここ数年活発化している。MCが旺盛な中、今年の春の入学商戦において、学生服大手3社は計画的な受注活動や生産によって納品がおおむね順調に進んでいるようだ。一方、原材料価格など、さまざまなコストアップが響く中、各社は価格改定の動きを継続する。(秋山 真一郎)
詰め襟とセーラー服の採用比率が高かった中学校を中心に、性差を感じさせないブレザーへと制服をMCする動きが2020年ごろから活発だ。ニッケの調査によると、昨春のMC校数は過去最多を記録した23年の748校に次ぐ735校。生徒数の多い都市圏から地方へとMCが波及する中、ピークは過ぎたとみられるものの、今春も700校を超える見通しで、引き続き高水準にある。
MCが増える中、20年以降は生産、納品面でタイトな状況が続き、一部で納品遅れが発生する年もあった。そのような中、トンボ、菅公学生服、明石スクールユニフォームカンパニーの大手3社は新規注文の締め切りの早期化など、確実な納品体制を整備してきた。
今春の入学商戦では、3社とも順調な生産、納品につなげたようだ。トンボの藤原竜也社長は「ブレザー化によって小ロット化がより顕著になっているが、学生服、スポーツともに先行生産によって順調に推移した」と説明。菅公学生服の尾﨑茂社長も「おおむね順調」とするほか、明石スクールユニフォームカンパニーの河合秀文社長も「受注の早期化によって注文の取り方が平準化してきており、混乱があまりなく進めることができつつある」と話す。
一方で、原燃料価格や人件費など、さまざまなコストが上昇基調にある。各社は昨年ごろから価格改定の動きを本格化させてきた。トンボは「目標とする金額の80%までは達成できた」(藤原社長)。値上げもあり、今期(25年6月期)は増収の予定だが、「コストアップに相殺され、利益は目標には届かない」とし、今後の課題となる。
菅公学生服も価格改定に向けた活動を継続する。尾﨑社長は「営業部隊の頑張りによってやってもらっている」とし、「ちゃんとした製品をお届けするためには、ある程度のコスト負担をお願いするのは仕方がない」と語る。
明石スクールユニフォームカンパニーでは、今春の入学商戦から「価格改定の数字が明確に表れてくる」とする。今後は「売り上げよりも利益をどれだけ残せるか」とし、「ロスなど余分な経費をいかに節約できるかが重要なポイントになってくる」と強調する。